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東京歯科大学 千葉病院

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言葉の障害

言葉の障害

はじめに

口蓋裂児にみられる特徴的な言葉の障害は、一般に口蓋裂言語と呼ばれています。私達は当科で口蓋形成術を行った術後の患児は、小学校就学前に言葉の障害を改善し、正常な言葉のコミュニケーションが可能になることを目標にしています。症状の軽い不完全口蓋裂ではほぼ正常言語が日常生活のなかで自然と獲得できますが、症状の重い完全口唇顎口蓋裂では系統的な言語の治療が必要な場合があります。

正常な言葉はどのようにつくられますか

少し難しい話になりますが、口蓋裂言語を知るために必要なので、正常な言葉のつくりかたについて話をしたいと思います。
言葉を発するために関与する諸器官を音声器官と呼びます。一般に言葉としての音声は、呼気、発声、構音の3つの過程からなっています。具体的にはまず肺からの呼気が声帯の振動によって声門を通過する際の呼気の流れから始まります。この過程を発声と呼びます。続いて声道の形を変化させたり、声道に音源をつくることにより時間的な変化をさせることを構音と呼びます。最後に音声として空気中に伝搬されていき、聴き手が耳と脳で感知します。

口蓋裂言語とは

口蓋裂言語とは口蓋裂患児にみられる特徴的な言葉の障害のことです。その原因を大別すると鼻咽腔閉鎖不全による呼気のもれ(開鼻声)と学習障害としての構音異常になります。
鼻咽腔閉鎖不全とは、言葉をつくるときに軟口蓋と咽頭の間が閉鎖されない状態をいいます。鼻咽腔は、言葉をつくる際には周囲の筋肉が収縮して閉鎖されます。
したがって重度な鼻咽腔閉鎖不全のままですと、言語の訓練を行ってもなかなか口蓋裂言語は改善しません。閉鎖不全を改善するために手術(咽頭弁移植術)を行ったり、閉鎖するための装置(スピーチエイド)をつける場合があります。しかし鼻咽腔閉鎖は良好でも、学習障害としての構音異常(構音をつくるにあたり悪い癖がついた状態)を認める場合は、言語療法士による言葉の訓練を行うことで改善されます。

口蓋裂術後の言葉の管理について

口蓋裂患児の言葉の管理は、口蓋裂手術後2歳頃より発達を含めた経過観察を開始し、会話によるコミュニケーションがとれるようになる3歳頃より詳しい構音検査を行っていきます。 具体的には言葉の発達状況を定期的に調べたり、絵本などを用いて鼻咽腔閉鎖の状態や構音異常が無いかなどについて聴覚的に評価を行います。またこの時期から家族の患児にたいしての細かな配慮が必要です。そして5歳になっても構音異常が改善されなければ、小学校就学時での正常な言葉を獲得するために言葉の治療を行います。なお鼻咽腔閉鎖不全が軽度の際は言葉の治療によって改善されていきます。

絵カードによる検査イメージ

絵カードによる検査

言葉の治療について

私達の病院では言葉の治療が必要な患児にたいして担当医と専門家である言語療法士と家族がチームになって、週1回のペースで治療を行っています。訓練時間は30分前後で、1年以内にほとんどの患児の口蓋裂言語が改善されています。

口蓋裂言語治療のイメージ