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東京歯科大学 千葉病院

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用語解説

用語解説

開鼻声(カイビセイ)

開鼻声とは何らかの原因(口蓋裂、軟口蓋運動障害など)により、構音時に空気の流れが鼻腔に漏れてしまう状態をいいます。そのために鼻腔共鳴が強すぎるため、正常な発音ができない状態をいいます。

顎裂(ガクレツ)

唇顎口蓋裂や唇顎裂の方は上あごの歯が植わっている場所(歯槽)の骨が破裂によって左右のつながりが絶たれている場所があります。この部分を顎裂といいます。

顎裂部移植術(ガクレツブイショクジュツ)

唇顎口蓋裂や唇顎裂の方で必要となる場合がある手術です。
顎裂部は歯槽骨(歯を支えている骨)がなく、矯正治療でその場所に歯を動かすことができません。また上顎の狭くなった歯列(歯のアーチ)を拡大するとその破裂の部分が広くなり、病的な孔ができて食物や言葉の鼻もれが現れることがあります。
その部分に骨を移植して孔をふさぎ顎を形成する方法を顎裂部骨移植術といいます。当院では、骨は安全に適量を採取出来るということで主に自分の腸骨(腰にある骨)を使って行っています。
自分の腸骨を使うのは骨の生着など一番安全で安定した材料であるためです。骨の採取で必要な切開は極めて小さくすみ、水着や下着に覆われ、また歩行に障害のない部位を選びます。
骨を移植する事の利点は、1)骨を移植したところに歯を移動誘導できる、2)上あごの骨の連続性ができ矯正で動かした歯の安定が得られる3)鼻もれがなくなる、4)土台がしっかりし、唇や鼻の形が改善する、5)歯槽堤(歯茎の土手)ができブリッジや入れ歯がつくりやすい形にできる、などが挙げられます。
手術時期は患者さんの状態に合わせ矯正歯科医と相談して決めていきます。

完全口蓋裂(カンゼンコウガイレツ)

口唇・口蓋裂の分類法には様々なものがみられますが、発生学的な面から完全口蓋裂と不完全口蓋裂とに分類する方法があります。顔面の発生において一次口蓋と呼ばれる将来的に上唇、上顎前方歯槽部(上顎4切歯)、切歯孔前方の硬口蓋を形成する組織と、二次口蓋と呼ばれる将来的に切歯孔後方の硬口蓋、軟口蓋、口蓋垂を形成する組織に分かれますが、二次口蓋に限局した口蓋裂、すなわち切歯孔後方の口蓋裂を単独に発現するものを不完全口蓋裂とよびます。
これに対し、一次口蓋と二次口蓋にまたがって破裂を発現するものを完全口蓋裂とよびます。
完全口蓋裂は、歯槽突起、硬口蓋、軟口蓋にわたって破裂が存在し常に口唇裂を伴うことから口唇顎口蓋裂と同じ表現型です。

構音(コウオン)

構音とは目的とする言葉を発するため、構音器官である声道の形を変化させることです。よく動く構音器官として口唇、下顎、軟口蓋、舌などが挙げられ、それらの機能評価は構音の検査をする際に重要となります。

口蓋形成術(コウイガイケイセイジュツ)

口蓋形成術の主目的は、良好な鼻咽腔閉鎖機能を持つ口蓋を形成し正常な言語を獲得することにあります。口蓋裂の一次手術は、一般に生後1歳6カ月頃を中心に実施されています。この時期に行う理由は、赤ちゃんは1歳6カ月頃から言語能力が急速に発達するため言語を覚える時期に口腔環境を整えるためです。またこの時期までに、顎および軟口蓋は急激な発育がみられ、破裂の幅も狭くなるといった特徴もあります。

口蓋裂言語(コウガイレツゲンゴ)

口蓋裂言語とは口蓋裂患児にみられる言葉の障害のことです。具体的には共鳴障害である開鼻声と、それに起因する学習障害としての構音異常が原因です。声門破裂音、咽頭破裂音、咽頭摩擦音、口蓋化構音、省略、側音化構音、鼻腔構音などが口蓋裂言語にあたります。

口唇形成術(コウシンケイセイジュツ)

口唇形成術は「自然にみえる左右対照的なくちびると鼻」を手術的につくるものです。口唇裂の赤ちゃんは、くちびると鼻の周囲の筋肉に筋走行の乱れと断裂があります。この筋肉を正しい位置に戻し以後の成長の妨げを出来る限り少なくすることが重要です。したがって破裂の程度、状態や組織量などにより具体的な手術方針/方法を手術執刀医を中心に計画します。
口唇形成が終わった後、手術の傷あと(瘢痕)をより目立たなくするために次のようなことを行うことがあります。
口蓋形成術には、1回で口蓋全体を閉鎖する方法と、2回に分けて口蓋を閉鎖する方法とに分かれます。それぞれの長所/短所があり、世界的な見解もまだ統一されておりません。

術前治療(ジュツゼンチリョウ)

口唇裂・口蓋裂児の出生直後から初回の手術(通常は口唇裂の手術)時期までに行われる治療あるいは対応のことを術前治療と呼んでおります。母親と家族へのケア、哺乳障害への改善と口唇裂手術の成績を高めるための術前顎矯正から成っております。

自立支援医療(ジリツシエンイリョウ)

口唇裂・口蓋裂の患者さんが育成医療指定病院で治療を行う場合、公費で医療給付を行っています。所得・住所地によって自己負担金があります。(旧:育成医療)

滲出性中耳炎(シンシュツセイチュウジエン)

鼓膜の奥の中耳が炎症を起こし、液体が貯まっている状態をいいます。耳の閉塞感や難聴が主な症状で、耳痛は少ないといわれております。成人より小児と老人に多くみられます。

スピーチエイド(スピーチエイド)

鼻咽腔閉鎖不全患者に対して、括約筋の閉鎖が不十分な上咽頭部に対し、バルブにより人工的に閉鎖不全部を補填し、呼吸や嚥下などの生理的機能を障害することなく、発音時の鼻への息漏れを防ぐ入れ歯型の装置をいいます。比較的低年齢時から鼻咽腔組織を損傷することなく、閉鎖不全部を個々の状態に応じて補填・調節し鼻咽腔閉鎖機能を改善する利点と、鼻咽腔閉鎖に関連する筋運動を賦活化する作用を持つといわれています。しかし患者の成長に合わせて何度か作り変えたり、また装置を支える歯が多数喪失していると適応しがたいなどの欠点を持ちます。

多因子しきい説(タインシシキイセツ)

小さな因子(遺伝子、母体環境、放射線、感染、化学物質など)が、多数複雑に絡み合い相互作用によって発生する。

音声器官(オンセイキカン)

言葉を発するために関与する諸器官を音声器官と呼びます。具体的には声道に面する咽頭、鼻腔、軟口蓋、硬口蓋、舌、歯、歯肉、歯槽部、口唇、下顎、および舌骨などの口腔領域に加え、呼気の通路として肺、気管支、気管、喉頭の総称が音声器官です。

二次修正手術(ニジシュウセイシュジュツ)

唇裂に対して最初に行なう形成手術は一般的に生後4~5カ月で行われ、唇や鼻の変形を改善する目的で行う。しかしこの手術で変形が十分に改善できなかった場合や、初回の手術で十分改善できても術後成長に伴って唇や鼻に様々な変形が生じる場合があり、これを修正する目的で行なう。

二段階口蓋形成術(ニダンカイコウガイケイセイジュツ)

口蓋形成術の主目的は、良好な鼻咽腔閉鎖機能を持つ口蓋を形成し、正常な言語を獲得することにあります。その為手術をできる限り早期に行うことが必要であり、かつ手術に際して形成した口蓋を十分に後方移動(push back)することが重要といわれています。しかしながら顎発育の面からは手術はできる限り遅らせることが望ましく、さらに口蓋の後方移動を積極的に図るほど、より大きな顎発育障害を来すこととなります。この相反する問題の解決のためチューリッヒ大学のDr. Perko(ペルコ)は、2回に分けて口蓋を閉鎖するシステムを考案しました。
言語能力が急速に発達する1歳6カ月頃に、初回手術として軟口蓋部の破裂閉鎖(軟口蓋形成術)を硬口蓋の骨膜を剥離しない粘膜弁法で行います。これは「ことば」を主目的とした手術と考えて下さい。次いで4歳6カ月~5歳頃に第2回目の手術として硬口蓋部の破裂閉鎖、すなわち硬口蓋形成術を粘膜骨膜弁法で行います。
本法はことばと顎発育の両面から比較的良好な成績を修め、世界中の施設で広く採用されていますが、2回に渡る手術が必要となる短所もあります。

鼻咽腔閉鎖機能(ビインクウヘイサキノウ)

前方を軟口蓋、後方を咽頭後壁、側方を咽頭側壁で囲まれている空間を鼻咽腔と言います。正常な言葉は鼻咽腔の閉鎖の強弱により空気の流れを変化させてつくります。 これらを鼻咽腔閉鎖機能といいます。

鼻咽腔閉鎖不全(ビインクウヘイサフゼン)

言葉を発する際に通常は鼻咽腔(前方を軟口蓋、後方を咽頭後壁、側方を咽頭側壁で囲まれている空間)は閉鎖します。口蓋裂患児は様々な原因により手術前後において鼻咽腔が閉鎖できない場合があります。その状態を鼻咽腔閉鎖不全といいます。

鼻口腔瘻(ビコウクウロウ)

鼻の通り道と口とが交通している状態で、口からは孔(アナ)として見えます。口腔鼻腔瘻孔とか、単に瘻孔とも呼ばれています。水分や食物が鼻の孔から出てくる障害があり、大きくなると言語障害をきたします。