特色ある大学支援プログラム

社会が歯学部教育に求めるものは何か。

「安心・信頼して診療を任せることができる歯科医師としての人間力」

本学の建学の理念「歯科医師である前に人間たれ」に基づき、本取組を通じて以下の内容をディプロマ・ポリシーの一部に掲げ、カリキュラムを編成する。

  1. 患者からより深い情報を引き出すことのできるコミュニケーション能力を身につける。
  2. 患者及びその周囲の社会構成員・環境などへ配慮する広い視野と高い倫理観を醸成する。
  3. 個別の疾患に対する診断能力を身につける。
  4. 個々の患者ニーズに応えられる診療計画を立案する。

歯科医師−患者間のコミュニケーション

患者や家族からより深い情報を引き出すためには、信頼関係の構築が不可欠であり、非常に高いレベルのコミュニケーション能力が求められる。
また、診療計画を患者・家族へ十分に説明し、個々の患者にとって最良の歯科医療を提案し、同意を得るためにも、高いコミュニケーション能力が求められる。

総合診療計画立案能力養成カリキュラム

総合診療計画立案能力とは、個々の患者のニーズに応え、最良の歯科医療を提供するための医療面接から始まる診察、検査、診断、治療計画の立案、そしてインフォームドコンセントという一連の診療の流れについての、知識・技能・態度の融合した能力を表す。

診療参加型臨床実習は実践の場

現在の教育(本学独自のダイアゴナル・カリキュラム)
現在の教育(本学独自のダイアゴナル・カリキュラム)

従来の科目別講義とシミュレーション実習では限界がある。

本学独自のダイアゴナル・カリキュラムをもってしても、社会が求める歯科医師としての人間力を養成するための診療参加型臨床実習は不十分と考える。

統合型教育

従来より行われているダイアゴナル・カリキュラムの中で、6年一貫したコミュニケーション教育と医療倫理教育(統合科目)、臨床系科目、基礎系科目の統合と、シミュレーションを超えたリアルな患者の声で学生を育成し、診療参加型臨床実習にたどり着くまでに十分な訓練を受けた上で、診療参加型臨床実習を実践の場として活用する。
診療参加型臨床実習は、患者さんによって育成される場である。

アウトカム

安心・信頼して診療を任せることができる歯科医師としての人間力を身につけることで、卒業時には、患者の社会的背景、複数の疾患、年齢、患者周囲の状況などに配慮した総合診療計画が立案できる、社会が求める歯科医師を養成する。

行動目標

『臨床実習開始前の具体的行動目標』

  1. 医療面接を通じ、患者の医学的問題点を抽出する。
  2. 治療の目的を明確にする。
  3. 治療に伴う利害を説明する。
  4. 患者の選択権を倫理・法律に基づき尊重する。
  5. 治療に関する決定に影響する患者周囲の要因を抽出する。
  6. 患者周囲の状況に配慮する。
  7. 治療の目的とゴールを患者と共有する。

『臨床実習を通じて達成されるべき具体的行動目標』

  1. 医療面接を通じ、患者本人および周囲の状況を把握する。
  2. 医療面接を通じ、患者との信頼関係を構築する。
  3. 臨床推論を実践する。
  4. 患者指導を行う。
  5. 患者、他の医療スタッフとともに治療のゴールを作成する。
  6. 総合診療計画立案に必要な多くの症例を経験する。
  7. 創造的思考力を身につけ、よりよい総合診療計画を立案する。

取組による達成目標

この取組によって、臨床実習はより充実した診療参加型となり、卒業前に多くの総合的な臨床学習経験を積むことで創造的思考力が養成され、卒業時には

  1. 医療面接技能・態度の向上
  2. 臨床倫理の検討能力の向上
  3. 臨床推論能力の向上
  4. 社会歯科学教育の充実
  5. 患者教育の充実
  6. 患者の立場に立った総合診療計画立案能力の向上

が達成され、個々の患者が満足する、知識、技能、倫理観を備えた歯科医師が養成される。

実施体制

総合診療計画立案能力養成プログラムの実施体制
総合診療計画立案能力養成プログラムの実施体制

東京歯科大学 教務部 臨床教育委員会

総合診療計画立案能力養成プログラム委員会

実施グループ:カリキュラムの編成・実施、学生への評価
改善グループ:教員・指導医・実施体制への評価、カリキュラムの見直し

ポートフォリオ評価委員会:学年主任・副主任で構成

P-Com 運営委員会:歯科医学教育開発センターで運営

東京歯科大学

ペイシェント・コミュニティー P-Com

東京歯科大学患者の会

ペイシェント・コミュニティーP-Com

演技やシナリオでない「リアル」を学ぶ

歯科医学教育への協力に賛同し、登録した患者及び地域住民等で構成する。

P-Comメンバー募集のための公開講座、公開セミナーを開催、幅広い年齢層のP-Comの構築を目指す。

  • 本学の教育理念、医療倫理の原則、医療の限界と可能性、本学における教育カリキュラム、附属病院での治療プロセスを公開するための講演会、セミナーを開催する。
  • 患者からの投書(患者様の声)を題材とした討論会、ワークショップを開催する。
  • 現代GPで構築した本学独自のe-learningプログラムを改変し、「いつでも、どこでも」参加できる体制により本学の歯科医学教育の透明性を推進する。

総合診療計画立案能力養成プログラム

総合診療計画立案能力養成プログラムの実施内容
総合診療計画立案能力養成プログラムの実施内容

コミュニケーション教育

第1〜4学年:従来の想起学習とあわせて

  • 病院見学実習
  • 患者体験実習
  • 学外施設実習
  • コミュニケーション技法実技実習
  • 医療面接シミュレーション実習

第5,6学年:診療参加型臨床実習

臨床倫理教育

第1〜4学年:従来の想起学習とあわせて

  • SGD / PBL
  • 病院実習
  • 学外施設実習

第5,6学年:診療参加型臨床実習

臨床推論教育

幅広い知識を関連づける高い問題解決能力と技能・態度を統合

幅広い知識を関連づける高い問題解決能力と技能・態度を統合

評価体制・評価方法

評価体制

360度評価の導入

学生への評価
教員
P-Com
相互評価
自己評価

教員への評価
同僚評価
P-Com
自己評価

 

プログラムへの評価
教員
P-Com
卒業生

評価方法

  1. 学生評価のためのコンピテンシーモデルの作成・導入
  2. 教員・指導医評価のためのコンピテンシーモデルの作成・導入
    上記2項目について、P-Comからの形成的評価は時期・期間を決めず、学生及び教員・指導医を対象に暗示的、継続的に実施し、年数回程度フィードバックを行う。
  3. 学生の総合診療計画立案能力に対する総括的評価
  4. プログラムへの評価
    「改善グループ」の構成員の任期は1年とし、次年度にはそのメンバーを「実施グループ」に 組み込む。
    教育効果、特に態度教育の効果を測定するには中・長期的視野での評価を欠かすことはできない。そこで、数年ごとに当該プログラムを在学中に受講した臨床研修歯科医を含む卒業生に自己評価をしてもらい、外部評価者による評価と併せて委員会による中・長期的評価も実施する。

TDC 教育プログラムシステム

TDC 教育プログラムシステム

取組の実施計画

取組の実施計画

学内教員への周知及びTDC 教育プログラム実施のためのワークショップ開催

本学では、継続して学内教員向けの教育ワークショップ、歯科医学教育セミナーを開催してきている。
これらを通じて本プログラムの周知と教員向けのセミナー・講習会を開催する。
さらに加えて、360度評価の周知、TDC教育プログラムの作成、実施のためのワークショップ等を複数回開催していく。(総合診療計画立案能力養成プログラム委員会)

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