全身麻酔って安全?

「○○さんがクモ膜下出血で脳外科の大きな手術を受けたのよ」とか,「△△さんが虫垂炎になって手術を受けたんだけど,ほんの15分位 の簡単な手術だったんだって」と言う会話を時々耳にします.

確かに大きな手術,小さな(あるいは簡単な)手術は存在します.しかし,麻酔に大小はありません.大きな手術の麻酔も小さな手術の麻酔も同じです.別 の項目に書いていますが,手術侵襲から患者さんを守ることに変わりないのです.

麻酔によって生体は本来あるべき方向とは逆の方向へ向かいます.ですから,危険であると考えることも出来るでしょう.しかし,大切なことは麻酔行為を行う医師が危険であると言う認識を持ち,起こり得る合併症・生体反応を予測し(危険予知義務),
それらを回避するべく努力する(危険回避義務)ことです.
そして,万一,予測できない事態が生じた場合でも,的確に対処する知識・技量を持ち合わせていることです(治療義務).

このように書いてくると,「やっぱり全身麻酔は怖い」と思われる方がいらっしゃるかもしれません.
事実,全身麻酔と聞くと,「怖い」,「危険」,「目が醒めないのでは」と言った先入観を持っている方がいらっしゃいますよね.しかし,麻酔に起因する偶発症(高度低血圧や低酸素症など)による死亡率は,交通 事故に遭遇して亡くなる率より低いと言われています.もちろん全身麻酔薬に対するアレルギー反応などの確率はゼロではありませんが,当院麻酔科医は前述の三つの義務を遂行し,合併症の早期発見,早期治療を心がけて麻酔を行っていますのでご安心下さい.

安全確保以外に取り組んでいる問題として,術後痛の軽減があります.術後痛管理の良し悪しは,単に短期間存在する疼痛を除去できたか否かではなく,術後の回復や日常生活への復帰をも左右することがあります.
100%疼痛のない状況が理想ですが,反面,副作用が生じても困りますので,ほぼ疼痛のない状況を目指して努力して行きたいと考えております.

入眠した患者さんに酸素でマスク換気をしています.