受賞情報 研究

野口智康臨床講師 第54回日本歯科麻酔学会学術集会で中久喜学術賞を受賞

 2026年10月9日(金)から10月11日(日)に、キオクシア アイーナ(岩手県)において開催された第54回日本歯科麻酔学会学術集会にて、口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室の野口智康臨床講師が、中久喜学術賞を受賞した。本賞は、日本歯科麻酔学会の機関誌に掲載された論文のうち、前年度の最優秀論文に授与される学術賞で、受賞対象となった論文は、野口臨床講師、福田謙一教授、歯科放射線学講座の小髙研人講師らによる「Challenges in Developing an Effective Inferior Alveolar Nerve Block Guide」である。
 本研究では、歯科臨床で広く用いられる下顎孔伝達麻酔(Inferior Alveolar Nerve Block:IANB)の安全性および確実性の向上を目的とし、3Dプリンティング技術を応用した患者個別のIANB用ガイドの開発および精度検証を行った。従来の手技は解剖学的指標を頼りに針を刺入するブラインド手技であるため、解剖学的な個体差などによる麻酔奏効不全や、血管・神経損傷などの合併症リスクが課題とされていた。本研究では、CTから得られた骨組織データと光学スキャナーによる歯列データをCADソフトウェア上で統合し、目標とする位置へ正確に針先を誘導するためのIANB用ガイドを製作した。検証実験の結果、針先位置の平均誤差が0.63mmとなり、高い位置精度が確認された。デジタル技術を活用することで、従来の手技における解剖学的リスクを低減し、安全性と再現性に優れた麻酔手技の実現可能性を示した本研究は、その独創性と臨床的意義が高く評価され、今回の受賞に至った。
 今後は、実際の臨床応用に向けたさらなる検討が進められ、より安全で確実な歯科麻酔の実現と歯科医療の発展に貢献することが期待される。