はじめに
学校法人東京歯科大学(以下「本法人」という。)は、海外の大学や研究機関との交流を活発化し、研究者間および学生間の交流を通じて、国際交流を推進するとともに、研究の高い水準の維持・向上、新しい医療技術の導入や全世界に向けて日本の歯科医学の研究と医療の立場を明確に示すことのできる人材を養成し、大学の国際化を目指している。
この「海外危機管理マニュアル」は、本法人の教職員及び学生に、事前の情報収集の重要性や危機に直面した際の対処方法について情報提供を行うとともに、海外へ派遣する教職員・学生等に対する本法人としての安全配慮や、危機発生時に本法人として対応すべき内容を定め、適切なリスクマネジメントを行うために策定するものである。
Ⅰ 海外における危機管理体制の基本方針
1.対象とするリスク及び危機の範囲
本法人の教職員・学生が外国出張・海外留学中などの際に想定される危機発生のケースとして以下のものが考えられる。
- 海外において重大な天災、テロ、飛行機・列車事故等が発生し、これらに本法人の教職員・学生等が巻き込まれた場合(天災、事件・事故に巻き込まれた場合)
- 傷病により重篤な状態又は死亡した場合
- 事件・事故の加害者若しくは容疑者となった場合
2. 海外における危機発生時の基本的対応方針
本法人は、当該危機に遭遇した教職員・学生等の状況等より、次のように対応することとする。
- 本法人の教職員・学生等について、本人の生死が不明の場合は、対策本部を設けて対応に当たる。
- 本法人の教職員・学生等について、本人の生存あるいは死亡が確認されている場合には、対策本部を設置するか否か理事(庶務担当)が決定する。対策本部を設置する場合においては、対策本部において適宜対応にあたることとする。 対策本部を設置しない場合においては、関係部局において必要な危機対応を行うこととする。
Ⅱ 海外渡航における危機管理
1. 海外渡航に係る安全教育
教職員及び学生等に対し、オリエンテーション等、様々な機会を通じて海外渡航時のリスク管理、危機回避の重要性を認識させる。
<説明事項>
- 派遣先(国)の国際情勢の変化や動向(テロ、天変地異、感染症など)
- 派遣先(国)の風俗習慣、式祭典の特徴や性理論などの文化的差異
- 派遣先(国)の対日感情や日本人に対するイメージ及び傾向
- 危機に遭遇した際の連絡体制(別紙で作成)
- 派遣前の健康診断・健康相談
- 派遣先(国)で流行している感染症について把握し、必要に応じて、 事前に予防接種
2. 派遣先に対するリスク分析の実施
- 海外危険情報対応基準及び海外渡航の判断
教職員及び学生等の海外渡航の実施、中止、延期、継続、途中帰国については、- 「外務省 危険情報および感染症危険情報」のカテゴリーを確認する。
- 原則として「危険情報レベル2以上」および「感染症危険情報レベル2以上」と示される地域への派遣は禁止とする。ただし、感染症危険情報については、レベル設定の事由によっては、派遣を許可する。(例: 新型コロナウイルス関連)
また、教職員の私事渡航においては、渡航者が、<安全対策の4つの目安(カテゴリー)>により判断し、大学プログラム以外(私費留学、私的旅行等)による学生の渡航においては、<安全対策の4つの目安(カテゴリー)>を基に所属部局の指導教員等が指導を行う。
3. 海外渡航時の事前報告
海外渡航する教職員及び学生には、渡航期間、渡航中の連絡先、住所等について記載された「留学・海外研修届(様式1)」を提出させる。
4. 渡航後の判断
次の場合は、必要に応じて、旅行、留学等を中止し、途中帰国の判断を行う。
- 外務省の危険情報又は感染症危険情報が、渡航後に変更され、より高い区分となった場合
- 派遣先大学等において、研究又は学業の継続が困難な場合(大学の閉鎖、研究・就業環境の悪化など)
- 渡航者が病気・けがにより長期間入院治療が必要となった場合(健康状態に応じた判断を行う。)
- 渡航先の国の法律に違反する行為を行った場合(渡航先の国の法律の取扱いに基づき判断する。)
- 犯罪等の被害者となった場合(渡航先の国の法律の取扱いに基づき判断する。)
Ⅲ 海外渡航時の危機管理対策
1. 情報収集及び登録等
- 海外渡航する教職員及び学生が必要な時に閲覧できるよう、大学ホームページ等において、このマニュアルの周知及び危機管理に関する情報を提供する。
- 情報収集、安全対策(自分の身は自分で守る)及び健康管理の必要性を周知する。
- 海外渡航する教職員及び学生には、以下の必要な手続きを行わせる。
- 外務省海外旅行登録「たびレジ」
3ヶ月未満の渡航を予定している場合、もしくは外国での住所・居所を定めず3ヶ月以上渡航する場合。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html - 在留届電子届出システム「ORRne(Overseas Residential Registration)」
旅券法第16条により、外国に住所又は居所を定めて3ヶ月以上滞在する日本人は、「在留届」を提出することが義務付けられている。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
2. 大学への報告
- 教職員及び学生には、渡航期間、渡航中の連絡先、住所等について記載された、「留学・海外研修届(様式1)」を提出させる。
- また、渡航後それらが変更になった場合は、教職員(大学院生を含む)にあっては、所属長へ、大学の学生にあっては学生課長、短期大学の学生にあたっては教学課長へ速やかに連絡するよう周知する。
- 現地到着後、家族・大学担当者(教職員(大学院生を含む)は所属長へ、大学の学生は学生課長へ、短期大学の学生は教学課長へ報告する。
- 海外滞在中は、少なくとも月に 1 回は家族、大学担当者へ連絡をする。
- 渡航先に国・地域に対して「外務省海外安全ホームページ」の「危険情報」及び「感染症危険情報」が発出されているか確認し、発出されている場合でも渡航を行おうとする場合は、事前報告の際に、その理由、安全確認、緊急時の対応についても報告させる。
- 教職員の海外渡航において、旅行期間が6ヶ月以上となる場合は、渡航前及び帰国後の健康診断の受診が義務づけられていることを周知する。
3. 海外旅行保険について
海外渡航者には、必ず海外旅行保険に加入させる。学生は、学研災付帯海外留学保険に加入することにより、海外渡航時に思わぬ事故や病気に遭遇した場合等に24時間体制・日本語できめ細かいサポートを受けることができるほか、渡航先の危険情報やトラブル対策の情報を受信できるなど様々な危機管理サービスを受けることができる。
学生が個別に保険会社を選定して手続きした場合は、当該会社の危機発生時の対応等について、契約者本人が、十分に確認するよう指導する。
Ⅳ 本法人における危機管理体制の整備
1. 事前対策
派遣を行う担当者は、安全に教職員及び学生の派遣を行うために、必要に応じて以下の事項について事前オリエンテーションを実施し、教職員及び学生への注意喚起を行う。
- 指導・助言
派遣を行う担当者は、派遣地域・国の社会・文化・政治的状況、国際情勢及び流行疾患等の安全に関わる情報を把握し、教職員及び学生等に対し、適切な指導・助言を行う。 - 連絡体制の整備
派遣を行う担当者は、教職員及び学生等に対し、派遣日程、所属・活動場所、海外旅行保険情報、パスポート情報、住所及び連絡先等の重要な情報が記載された「留学・海外研修届(様式1)」を必ず提出させるとともに、危機が発生した場合又は発生する恐れがある場合の連絡体制(別表1)について充分な説明と周知を行う。 - 健康状態のチェック
派遣を行う担当者は、派遣期間がおおむね1か月を超える場合、学生等に健康状態をチェックするように指導する。また、感染症が流行している国・地域へ派遣する場合には、必要に応じて予防接種の必要性の説明を行う。なお、教職員を6カ月以上海外派遣させる場合は、労働安全衛生法により本法人は当該教職員に健康診断を受けさせる義務がある。 - その他
国際交流部は、派遣を行う学科担当者の要請等に基づき協同して、これを行う。
2. 危機事象発生時の対応
本法人の教職員・学生が外国出張・海外留学中などの際に想定される危機発生のケースとして、天災、事件や事故に巻き込まれた場合・傷病により重篤な状態又は死亡した場合・事件や事故の加害者若しくは容疑者となった場合が考えられる。
<対策本部を設置する場合>
- 本法人の教職員・学生等が、被害者または加害者若しくは容疑者になった場合において、本人が生死不明の場合
- 生死が明らかになったが、例えば、ハイジャック事件等で、事件・事故等の膠着状態が続いている場合や、解決がついていない場合
<対策本部を設置するか否かの判断を要する場合>
- 本法人の教職員・学生等が、被害者、あるいは傷病による場合において、本人の生存あるいは死亡が確認されている場合対策本部を設置する場合においては、対策本部において適宜対応にあたることとする。
<対策本部を設置しない場合>
- 事件・事故の加害者若しくは容疑者となった場合になった場合は、事件や事故の解決に向けて関係機関等に協力するとともに、関係機関等の協力を得ながら法人として被害者に対し誠意ある対応を心掛ける。
- 対策本部
理事(庶務担当)は、その所掌する事項において危機事象が発生した場合に、危機レベルに対応した対策本部を設置する。
対策本部は、危機事象の把握、危機事象からの回復、損害の軽減に対して関係者に指示し、危機事象の収束後にはその報告書を作成する。 - 派遣・帰国の判断
派遣・帰国の判断は、外務省海外安全情報の安全対策の4つの目安(カテゴリー)によることを原則とする。感染症に伴う危険レベルもこれに準じる。 カテゴリーがレベル2(「不要不急の渡航は止めてください。」)であれば、原則として派遣は中止とし、渡航中の場合は、帰国を指示する。カテゴリーがレベル3(「渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」)あるいはレベル4(「退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」)であれば、派遣は中止とし、渡航中の場合は、帰国を前提とし安全を最優先する。
派遣・帰国の判断は、所属長、事務局長、国際交流部長が行うものとする。ただし、全学的に対応する必要のある場合は、理事(庶務担当)の判断によるものとする。(別添1参照) - 情報収集と情報の共有
海外との情報収集・共有においては、次のことを原則とする。- 本法人側の窓口担当者は、危機事象の収束まで変更しない。
- 本法人側の窓口担当者は、必要に応じて補助者をつけることができる。
- 本法人の窓口担当者及び補助者は、危機事象の概要を、具体的かつ時系列による記録を取る。
- 危機事象の当事者が複数の場合は、それぞれの記録を取る。
- 本法人の窓口担当者及び補助者は、その知り得た情報を学科担当者に逐次報告する。
報告する内容は危機発生報告書(様式2)による。
- マスコミ対応
マスコミ等報道機関への学校窓口は、事務局長とする。
Ⅴ 教職員・学生が行うべき危機管理対応
1. 渡航前に行う事項
- 外国出張・海外留学に伴う危機管理に対する心構えと準備すべき事項
- 危機発生の可能性があることを十分認識しておく。
- 危機発生時のシミュレーションを行う。
- 健康状態のチェック(保健センターなどとの相談や健康診断を受ける。)をする。
- 海外留学等の渡航前の手続きや行うべき事項
- 「留学・海外研修届(様式1)」を必ず大学(部局)へ提出する。
- 危機管理に関する説明会やオリエンテーション等へ参加する。
- 保険への加入と確認すべき事項など
- 外国出張・海外留学中の危機に備える保険(例:海外旅行傷害保険・学生総合共済等)に加入する。
- 航空券を手配した旅行会社や航空会社の危機発生時の補償等を確認する。
- 渡航前に加入した保険の内容について大学(部局)に連絡する。
- 国際情勢、渡航先の安全性についての情報収集の必要性
- 国際情勢の変化や動向について把握する。
- 渡航先の現地安全情報(例:外務省・在外公館のHP を活用)を把握する。
- 渡航先の感染症情報の把握(例:厚生労働省検疫所のHP)と必要な予防接種を受ける。
- 渡航先の政治・社会・文化、日本との関係や対日イメージなどを理解しておく。
- 外国出張・海外留学先大学等の危機管理体制などについての情報収集
- 危機管理体制や危機管理に関するオリエンテーションなどの実施状況を調査する。
- 外国出張・海外留学先等で加入する危機管理に関する保険の種類や内容を把握する。
渡航後に行う事項
- 在外公館への在留届提出と危険情報の把握
- 災害やテロ等の緊急時の安否確認、退避の手配などの連絡・保護が在外公館から受けられるように旅券法により、3 ヶ月以上外国に滞在する日本人は在留届の提出が義務づけられている。また、治安情勢が不安定な国や地 域への渡航の場合は、滞在期間が3 ヶ月未満でも届け出るようにする。
- 在外公館のHP などで、定期的に留学先の危険情報について把握する。
- 外国出張・海外留学先等での危機管理体制把握と大学への連絡
- 外国出張・海外留学先等での危機管理に関する情報収集を行う。
- 外国出張・海外留学先等の緊急時の対応体制と連絡システムを把握し、大学(部局)へ報告する。
- 渡航後に加入した保険とその内容について大学(部局)に連絡する。
- 自己の危機管理
- 緊急連絡先(留学・研修先等の電話番号や住所など)を記したメモ等を外出の際は必ず携行する。
- 緊急時の家族への連絡体制の確認も行う。
- 緊急時の大学への緊急連絡体制を確認・準備する。
- 本人若しくは外国出張・海外留学先等の関係者などから連絡する体制を確保しておき大学(部局)に連絡する。
- 外国出張・海外留学先等の関係者に緊急時の大学(部局)への連絡先を知らせておく。
- 海外渡航中は自動車等の運転はしない(違反や事故の場合の手続き、賠償責任やコストの問題などあり)。
危機に遭遇した場合の対応事
- 外国出張・海外留学先等の緊急連絡先へ連絡し、その指示に従って行動する。
- 大学(部局)へ連絡・相談する。なお、自ら連絡できない場合 などは、外国出張・海外留学先や在外公館等の関係者に大学(部局)への連絡を依頼する。
- 在外公館の連絡・指示に従って行動する。
- 家族へ連絡する。
- 保険会社にも連絡する。