講座の特徴
Feature
デジタル時代の補綴歯科を担う、局部床義歯教育と研究の拠点
パーシャルデンチャー補綴学は、1歯欠損から1歯残存まで、理論上約2億6,800万通りにも及ぶ多様な欠損様式に対して、局部床義歯を用いて咬合および口腔機能の回復させる学問分野です。可撤性補綴装置ならではの特徴を活かし、残存歯との調和を重視した義歯設計を行うことで、失われた顎口腔機能を制御し、患者のQOL向上に貢献します。
2015年の講座発足以来、当講座は「デジタル技術の局部床義歯への応用」を臨床・教育・研究の三位一体で推進してきました。特に、3Dプリンターで製作した局部床義歯フレームワークの精度を評価した研究は、発表から5年で約100回引用され、この分野で最も引用された論文の世界上位1%に選ばれるなど国際的に高く評価されています(Tasaka, 2020, J Prosthodont Res., 64: 224-230. doi: 10.1016/j.jpor.2019.07.009.)。この成果は講座の教育や臨床にも直結しており、デジタルデンティストリー時代を見据えた次世代補綴歯科医療の創出に大きく貢献しています。
教育
Education
包括的視点とデジタル技術で育む次世代補綴歯科医師
局部床義歯を用いた補綴臨床を成功させるためには、義歯製作の技術だけではなく、顎口腔系全体を捉えた包括的な視点が必要となります。当講座では卒前、卒後の教育を通じて、社会の多様なニーズに応えられる高度な臨床能力を備えた歯科医師の育成を目標に、教育プログラムを整備しています。
卒前研修
第3学年から第4学年では、補綴学総論および局部床義歯補綴学の講義・臨床基礎実習を通じて、補綴学の基礎的知識と義歯設計・製作の基本的手技を学びます。第5学年では臨床実習を担当し、個々の症例に応じた対応力や臨床判断力をさらに発展させることを目標としています。また、3DスキャナーやCAD(コンピュータ支援設計)などのデジタル技術も積極的に導入し、三次元的理解を深める工夫を行っています。
卒後研修
卒後研修では、歯科医師として求められる倫理観や臨床態度を身につけるとともに、臨床判断力および治療技術の向上を図ります。その一環として、日本歯科専門医機構認定補綴歯科専門医の取得を目指します。また、デジタル技術を駆使した最先端の局部床義歯治療を実践し、従来手技との融合による高度な臨床力を養います。
研究
Research


最先端技術で義歯を進化させる
近年、デジタル技術の発展により、義歯設計や製作精度を向上させる新たな手法が臨床に導入されつつあります。一方、実際の義歯使用に伴う支台装置の変化や、高齢者の摂食・嚥下機能など、日常臨床で直面する課題も多く存在します。当講座では、これらの最新技術と臨床課題を統合した研究を推進し、義歯の性能向上および患者の口腔機能改善に直結し、臨床現場に迅速に還元可能な知見の創出を目指しています。
主な研究テーマ
- デジタル技術を応用した義歯製作プロセスの評価
- CAD/CAM製局部床義歯の構造および形状精度の解析
- CAD/CAM義歯用新素材の物性評価と臨床応用の検討
- 3D積層造形による義歯構造の最適化設計
- 欠損歯列に対する口腔内スキャナー応用に関する研究
- デザイン工学に基づく局部床義歯設計の開発
- 義歯支台装置の繰り返し着脱による変化に関する研究
- 要介護高齢者における摂食・嚥下機能評価に関する研究
臨床
Clinical


一口腔単位で考える、残存歯との共存を重視した補綴臨床
当講座では、患者の抱える問題を丁寧に傾聴し、その解決を最優先とした治療計画を立案しています。咬合再構成が必要な症例や審美障害を有する症例に対して、補綴治療を中心とした一口腔単位での総合的治療を提供しています。特に局部床義歯症例においては、残存歯との共存を第一に考え、可撤性補綴装置の特徴を最大限に活かすことで、多様な欠損様式に対応した義歯設計・治療を行っています。
また、学会等で得られる最新の知見やデジタル技術を積極的に活用し、科学的根拠に基づく歯科医療の提供を講座員一同心がけています。これら臨床経験は教育や研究にも反映され、次世代の補綴歯科医療の発展に貢献しています。