令和8年2月5日
近年、生成AI技術は急速な発展を遂げており、文章、画像、音声、プログラムコード等の多様なコンテンツ生成が可能となっています。これらの技術は、教育・研究・業務の各分野において高い利便性を有する一方で、情報セキュリティ、個人情報保護、知的財産権および研究倫理等に関する新たなリスクも内包しています。
学校法人東京歯科大学(以下、「本学」といいます。)は、こうした技術的進展と社会的影響を踏まえ、生成AIを適切に活用するための基本的な考え方と留意事項を明確にする必要があると考え、本ガイドラインを定めます。
なお、本ガイドラインは、必要に応じて内容の見直しを行います。利用される場合は、常に最新のガイドラインを確認してください。
1. 生成AIの利用とは
本ガイドラインにおいて「生成AI」とは、文章、画像、音声、プログラムコード等のコンテンツを自動生成する人工知能技術を指します。
また、「利用」とは、生成AIへの指示文(プロンプト)の送信、ファイルの入力、ならびに生成された結果の閲覧、編集、転載、提出その他一切の活用行為を含みます。
2. 対象者
本ガイドラインは以下の者を対象とします。
- 本学に所属するすべての教職員
- 本学に在籍するすべての学生
3. 利用上の注意・禁止事項
生成AIは、教育・研究・業務の各場面において有用な支援ツールとなり得ますが、その特性や限界を十分に理解したうえで、以下の事項に留意し、責任ある利用を行ってください。
(1) 機密情報・個人情報の入力禁止
未発表の研究成果、研究データ、個人情報、プライバシーに関わる情報、業務上の秘匿情報、契約情報等を、十分な安全性が確認されていない生成AIへ入力してはなりません。個人情報、プライバシーにかかわる情報、機密情報等の取り扱いには十分注意してください。
本学が契約する法人向けサービス(末尾の提供AI一覧)を利用する場合でも慎重な扱いが必要であり、特に法人契約外のサービスに対しては、プロンプトやファイル添付による個人情報・機密情報の入力は行わないでください。
(2) ファクトチェックの徹底
生成AIは、事実に基づかない情報(いわゆるハルシネーション)を生成することがあります。生成された情報については、その正確性を鵜呑みにすることなく、必ず一次情報(元の論文、公式文書、信頼できる資料等)に基づいて裏付けを取り、事実確認(ファクトチェック)を行う必要があります。
(3) 独自性・独創性の確保
生成AIが提供する情報は、あくまで参考資料として位置づけられるべきものであり、最終的な成果物は、利用者自身の思考や判断に基づいて構築される必要があります。生成された内容に対しては、自らの見解や分析を加え、独自性・独創性を確保してください。
(4) 研究活動における健全性への配慮
研究において生成AIを活用する際には、研究の信頼性を損なうことのないよう十分に留意する必要があります。画像やデータの加工、文章の生成や要約等については、その利用方法によっては研究不正と誤解される可能性があります。研究の透明性および再現性を確保するとともに、研究成果に対する責任は研究者自身が負うことを十分に理解してください。
(5) 外部ルールおよび合意事項の尊重
生成AIを利用した成果物を学術誌への投稿や学会発表等に用いる場合には、投稿先や発表先が定めるルールや方針を必ず確認し、これを遵守してください。また、共同研究等においては、関係者間で生成AIの利用方針を共有し、認識の齟齬が生じないよう配慮することが重要です。
(6) 著作権および知的財産権への配慮
生成AIの利用に際しては、著作権その他の知的財産権を侵害しないよう十分注意してください。著作権で保護された論文、書籍、記事、画像等を入力・利用する場合には、著作権法その他の関係法令で認められた範囲を逸脱しないことが求められます。
また、生成AIの出力が既存の著作物と類似する場合、そのまま利用すると著作権侵害や剽窃に該当するおそれがあります。生成された内容を利用する際には、既存の著作物との類似性を確認するとともに、必要に応じて引用・転載の可否や方法を検討し、法令を遵守した適切な対応を行ってください。
(7) 社会的・倫理的影響への配慮
生成AIは、その使い方によっては、差別や偏見を助長したり、他者の名誉や権利を侵害したりするおそれがあります。生成AIを利用する際には、社会的影響や倫理的観点を十分に考慮し、不適切な目的や方法での利用を行わないようにしてください。
4. 各場面における特記事項
(1) 教育
教育活動における生成AIの利用は、各授業の教育目的や到達目標を踏まえ、授業担当教員が示す方針および指示に従うものとします。生成AIは、学修を補助する手段として活用することは可能ですが、レポートや課題等の成果物を生成AIのみで作成する行為は、学生自身の思考過程や理解度を適正に評価できなくなるため、原則として不適切です。
また、生成AIを利用する場合には、必要に応じて、使用した生成AIの名称や利用箇所、利用目的および方法等を示すことが望まれます。
生成AIの利用にあたっては、授業担当教員の指示や教育目的を十分に理解したうえで、学修の質の向上に資する範囲で適切に活用してください。
(2) 研究
研究活動において生成AIを利用する場合には、公正研究の基本原則を十分に理解し、研究の透明性および再現性を確保する必要があります。生成AIの利用により、捏造、改ざん、盗用等の研究不正が生じることのないよう、研究者は細心の注意を払わなければなりません。
また、論文投稿や学会発表に際しては、各学術誌や学会が定める生成AI利用に関する最新の投稿規程や開示要件を必ず確認し、これを遵守してください。生成AIを用いて得られた研究成果についての責任は、生成AIではなく、研究者本人が負うものとします。
なお、研究能力の向上には、英語論文の読解および執筆能力が不可欠であることから、AIはあくまで支援ツールとして位置づけ、適切に使用することを心掛けてください。
5. 法令および学内規程の遵守
生成AIの利用にあたっては、個人情報保護法、著作権法、不正競争防止法その他関係法令ならびに本学の学内規程を遵守しなければなりません。
本ガイドラインは、これらの法令および学内規程に優先するものではありません。
6. 責任の所在
生成AIは、教育・研究・業務を補助するためのツールであり、生成された内容を利用・公表・提出する際の最終的な判断および責任は、すべて利用者本人にあります。
生成AIの利用により生じた情報漏洩、権利侵害、研究不正等について、本学は原則として責任を負いません。
本学が提供するAI一覧(2026年2月現在)
本学が提供する生成AIサービスは、法人契約に基づき、入力データの外部流出やモデル学習への利用が制御・管理された環境で提供されており、教育・研究・業務において安全に利用することが可能です。一方、個人契約による生成AIサービスについては、入力情報が学習に利用される可能性があるため、個人情報・機密情報の入力は厳に控えてください。
@tdc.ac.jp ドメインからアクセスすることにより、法人契約に基づく生成AIサービスを利用することができます。
Google Workspace for Education
画像生成機能や、より高度なモデル(Gemini Advanced)等の一部の有償機能は提供対象外となります。
(1) Gemini
対話形式で利用できる生成AIであり、利用者とのやり取りを通じて、文章の作成、要約、翻訳、アイデア出し、情報検索の補助など、幅広い知的生産活動を支援します。学修・研究・業務の各場面において、思考の整理や作業効率の向上を目的とした補助的ツールとして活用することができます。
(2) NotebookLM
利用者自身がアップロードした資料(PDF、テキストファイル、Google ドキュメント等)の内容に基づき、質問応答や要約を行うことに特化した生成AIツールです。外部情報を参照せず、指定した資料の範囲内で情報整理や理解の補助を行うことができるため、学修・研究・業務における資料読解や内容把握の効率化に役立ちます。
LeapSpace(2026年4月~導入予定)
研究者が安全な環境の中で、より速く作業し、より深く考え、より多くの成果が得られるよう設計された AI ワークスペースです。文献分析から仮説立て、データ探索まで、幅広く研究ワークフローを支援します。LeapSpace に収録されているコンテンツは、Scopus(主要な科学出版社から1億件以上の記録が収載された、世界最大規模の抄録および引用データベース)と 1,500万件以上の査読済み論文(全文)から構成されています。これらの情報を基盤とした LeapSpaceは、検証されていないWebデータに依存している可能性のある一般的なAI ツールとは異なり、信頼の置ける科学的コンテンツのみを活用します。すべての機能はエルゼビア社の責任ある AI 原則に基づいて提供されます。機能詳細は別資料をご覧ください。