2026年3月14日(土)に、日本歯科医師会館(新宿区)において開催された、公益社団法人日本歯科医師会主催の若手歯科医師臨床症例発表会にて、口腔病態外科学講座の立澤孝太郎助教が最優秀賞を受賞した。本発表会は、全国の歯科大学・歯学部で研鑽を積む若手歯科医師が臨床症例や専門的知見を共有し、スキルの向上を図るとともに歯科医療の発展に寄与することを目的として開催されている。本賞はその中で最も優秀な口演発表に贈られるものである。
受賞演題は、「Le Fort I型骨切り術後の上顎骨癒合不全に対しCAD/CAM技術とMixed Reality技術を用いて再治療を行った1例」であった。本症例は、他院での顎矯正手術後に上顎骨癒合不全を生じた難治症例に対し、デジタルテクノロジーを活用した安全かつ高精度な再建術を行い、症状の改善を得たものである。
具体的には、セファロ分析から理想的な上顎骨位置を設定し、術前のバーチャルサージカルプランニング(VSP)により骨片の最大間隙が13mmとなることを計測した。そのVSPから実体模型を作製するとともに、Le Fort I型骨切り術および腸骨骨切り用サージカルデバイスを作製した。さらにそのデータから3次元ホログラムを作製し、ヘッドマウントディスプレイを用いてリアルタイムに術野と重ね合わせる手法を用いた。これにより、空間的一致を視認しながらの極めて高精度な上顎骨再建術が可能となった。術後経過は臨床的にもX線画像においても良好であり、二期的にオトガイ形成術を施行した結果、咬合および整容面の著明な改善を得た。
本報告は、CAD/CAM技術とMixed Reality技術の併用が難治症例に対する有用な手術支援となる可能性を示したものである。今後は本技術のさらなる発展を通じて、安全かつ精緻な歯科医療への貢献が期待される。
