2026年4月16日(木)から18日(土)に朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市)において開催された、第80回NPO法人日本口腔科学会学術集会にて、口腔病態外科学講座の西村光正大学院生が優秀ポスター賞を受賞した。
受賞演題は「神経損傷後のタンパク質発現変動と機械的異痛症との機能連関」で、智歯抜歯等によって生じるアロディニアなどの神経障害性疼痛の原因の解明にむけた研究であった。神経損傷後に生じる外傷性神経腫は抜歯や手術などの損傷後に生じる非腫瘍性の神経増殖であり、しびれや知覚鈍麻に加え、軽微な機械刺激で疼痛を生じるアロディニアなどの異常感覚を呈することがある。しかし、その発症に関わる分子学的機序については、これまで未解明な点が多く残されていた。
本研究では、神経損傷後に生じた外傷性神経腫と病理学的に診断された症例を対象に、Piezo1/Piezo2やTRPチャネルを免疫組織学的に評価し、臨床症状との関連を検討した。その結果、アロディニアを認める症例ではPiezo1およびPiezo2の発現が高い傾向を示し、これらが異常感覚の発症に関与している可能性が示唆された。さらに、ヒト病態で得られた知見をもとに、ラット下歯槽神経損傷モデルを用いた reverse translational research を行い、ヒト外傷性神経腫における所見と対応する結果が得られた。
外傷性神経腫における異常感覚の発症機序を、ヒト病理組織学的所見と動物実験の両面から検討したものであり、将来的には神経障害性疼痛の新たな治療標的の開発につながることが期待される。今後は症例数および解析項目をさらに増やし、外傷性神経腫における分子病態の詳細な解明を進めていく予定である。

