受賞情報 研究

鯉沼里佳臨床専門専修科生 第64回日本小児歯科学会大会で優秀発表賞を受賞

 2026年5月21日(木)から22日(金)に沖縄コンベンションセンター(沖縄県)において開催された第64回日本小児歯科学会大会にて、小児歯科学講座の鯉沼里佳臨床専門専修科生が優秀発表賞を受賞した。
 受賞演題は「歯根破折歯に対してRoot revascularizationと牽引を行い保存を試みた1例」であった。外傷による歯の破折は小児・若年者に多く認められ、審美性や咀嚼機能の低下を生じて患者のQOLに大きな影響を及ぼす。特に歯頸部付近の歯根破折では、破折線が歯肉縁下や骨縁下に及ぶことが多く、歯の保存の可否や治療方法の選択が困難となる。また、幼若永久歯では歯根の発育を考慮した治療が必要であり、従来のアペキシフィケーションでは歯根の長さや厚みの増加が期待できないことが課題となっている。
 本症例は、骨縁下に及ぶ歯根破折を伴う8歳男児の上顎右側中切歯に対し、MTAセメントを用いた歯髄再生療法(root revascularization)を実施した後、矯正的挺出を行った。歯髄再生療法によって歯根の発育を促進しながら、矯正的挺出によって歯質を歯肉縁上へ移動させることで補綴処置が可能となった。牽引中に歯根の成長および根尖閉鎖が確認され、最終的にファイバーポストによる支台築造とコンポジットレジン冠修復を行い、審美的・機能的に良好な結果が得られた。また、歯髄再生療法と矯正的挺出を組み合わせることで、従来であれば保存が困難と考えられていた骨縁下歯根破折を有する幼若永久歯の保存が可能となることを示した。今後は、より長期的な経過観察を行い、本治療法の有効性や耐久性を確認するとともに、より安全で効果的な治療方法が確立されることが期待される。