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東京歯科大市川総合病院サイト

後遺症に対する治療

i)顔面拘縮・眼瞼拘縮、病的共同運動  

麻痺早期より、表情筋の過大運動の抑制、筋の伸長マッサージ、脳の可塑性を利用したミラーフィードバック療法などのリハビリテーションを行うことで、ある程度予防したり、改善させたりすることが可能です。ただし、麻痺発症1年を経過すると、理学療法での回復の見込みは少なく形成手術が必要となります。

治療としては、過緊張となっている筋の作用を弱める目的で、眼輪筋や口唇周囲筋群の部分的な筋切除や選択的な神経切離、筋収縮を弱める薬剤(ボツリヌストキシン)の局所注射を行なっています。ボツリヌストキシンは効果持続期間が数ヶ月程度であるため、反復投与する必要があります。
また、眼瞼拘縮で細くなった眼瞼に対しては上眼瞼形成術なども行ないます。

最近の治療として、顔面神経に他の運動神経(舌下神経や咬筋神経)からの信号が加わる(cross-link)と、顔面拘縮や病的共同運動が改善する可能性があることが明らかになりつつあり、当科でも神経移植と神経端側縫合を利用した顔面神経・舌下神経(咬筋神経)縫合術を行っています。

ii)摂食時の流涙障害(鰐の涙)

今まで本症状に対して、実際的に有効な治療法はありませんでした。

当科では、ボツリヌストキシンが涙腺での涙液分泌抑制にも有効な点に注目して、涙腺へのボツリヌストキシン注射を行なっており、著明な改善が得られる例があります。