炎症
炎症とは、生体にとって何らかの有害な刺激が原因となって引き起こされる組織の防衛反応です。
口腔が関わる炎症には、歯に起因する細菌による歯性感染症の他に、唾石症による炎症、インプラント周囲の炎症などがあります。
齲蝕症や辺縁性歯周炎、さらに、智歯周囲炎は、ほとんどが口腔内常在菌などの細菌によって発症する歯性の感染症であり、主に化膿性炎症を生じます。これらは緩慢に経過するが、
しばしば激烈な急性経過をたどり、急性化膿性顎骨骨膜炎や広範な蜂窩織炎へと進展することがあります。
治療法
炎症性疾患に対する治療法には、原因を除去ないし排除する原因療法、手術療法、さらに、抗炎症薬の投与の他、罨法や輸液などによる局所と全身への対症療法があります。
これら治療法は、炎症の種類や程度、経過や進展状態、全身状態を評価して、診断したのち施されます。
顎・口腔領域の炎症は、原因が微生物による歯性化膿性炎症が多いことから、その対策が主となり、重症例では気道閉塞、さらに、縦隔への波及により致死的な経過を辿ることがあるため、迅速で的確な対応が必要となります。
当科において過去10年間(1999年1月~2008年12月)に歯性感染症にて入院加療を要した患者数は231名であり、うち全身麻酔にて手術を行った患者数は112名でした。
<<虫歯、歯槽膿漏から重症な炎症に波及>>
虫歯(う蝕症)、歯槽膿漏(歯周炎)
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歯髄感染症(化膿性歯髄炎)
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根管内感染
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根尖性歯周炎→顎骨骨髄炎
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歯槽骨炎→歯槽膿瘍
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顎骨骨膜炎+顎下隙膿瘍や顎骨骨膜炎+眼窩周囲膿瘍