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東京歯科大学 千葉歯科医療センター

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神経疾患

神経疾患

顎顔面口腔領域の神経疾患とは

口腔や顔面に分布している神経には、三叉(さんさ)神経や顔面神経などがあり、口の中や周りの感覚や、咀嚼(そしゃく)運動や表情を作る動きを司っています。これらの神経が痛んだり、麻痺したりする疾患を神経疾患といいます。顎顔面口腔領域では、三叉神経痛や顔面神経麻痺などがあります。

三叉神経痛

脳や脊髄神経などの中枢神経に関連して起こる真性(特発性)三叉神経痛と、末梢部分の様々な原因によって二次的に起こる仮性(症候性)三叉神経痛があります。

原因

真性三叉神経痛は原因不明なことが多いですが、頭蓋内の血管が神経を圧迫していることによるといわれています。また、仮性三叉神経痛は神経までおよぶ腫瘍や炎症、外傷などが原因といわれており、三叉神経領域の帯状疱疹後に現れる神経痛などがあります。

症状

真性と仮性で症状が違います。真性では、突然ビリビリとした電撃様のはげしい痛みが顔面の左右どちらかにみられるのが特徴です。痛みは発作性ですぐにおさまります。また、発作は食事、洗顔、歯磨き等の刺激で誘発され、また特定の部位を触ることでも痛みが生じます。仮性でもビリビリとした神経痛様の痛みを現しますが、感覚異常や自律神経症状など他の症状伴うことが多いです。

治療

真性三叉神経痛では、脳神経外科での治療を必要とすることが多いです。当科では主に、原因となっている疾患の治療や神経痛に対する抗けいれん薬を用いた薬物療法を行っています。必要に応じて、脳神経外科や当センターの慢性の痛み・しびれ外来へ依頼することもあります。

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は顔面神経が障害されている部位によって、中枢性と末梢性に分類されます。

原因

中枢性では、脳梗塞や脳卒中、脳内出血、脳腫瘍、脳炎などにより引き起こされます。また、末梢性では、原因不明のベル麻痺も多いですが、主な原因として、ヘルペスウィルスや栄養血管障害、寒冷刺激等が考えられています。

症状

中枢性顔面神経麻痺の場合には、「額のしわを作ることができる」「眉毛を動かすことはできる」という特徴的な症状がありますが、表情筋の麻痺は著明ではありません。また、ほとんどの場合で手足の麻痺など、顔面神経麻痺以外の症状も併発します。一方、末梢性顔面神経麻痺では眉毛も含めて麻痺が起こることが多く、通常手足の痺れなどの症状が出ることはありません。麻痺の起こった側に以下のような症状がみられます。

  • 口角が下がる
  • 口笛が吹けない
  • 口元のしわがなくなる
  • 額のしわ寄せができない
  • 目が乾いて赤くなる(麻痺性兎眼)
  • まぶたを閉じようとすると白目になる(ベル症状)

また、障害された部位により、以下の症状を起こす場合もあります。

  • 味覚障害
  • 聴覚障害
  • 涙や唾液の流出の低下

顔面神経麻痺イメージ01

顔面神経麻痺イメージ02

治療

中枢性の場合は、脳神経外科での治療が必要になります。末梢性の場合は、まず原因に対する治療を行い、麻痺に対してはビタミン剤の投与や温罨法、マッサージの指導を行っています。また、慢性の痛み・しびれ外来での星状神経節ブロックも行っています。

いずれも初期治療が重要です。症状が現れたらなるべく早めの受診をお勧めします。