【未破裂脳動脈瘤及び破裂動脈瘤によるくも膜下出血】の【診断・治療】のため、当院に入院・通院された患者さんの【画像情報及び診療情報】を用いた医学系研究に対するご協力のお願い
このたび当院では、上記のご病気で入院・通院された患者さんの【画像情報及び診療情報】を用いた下記の医学系研究を、医学部倫理委員会の承認ならびに病院長の許可のもと、倫理指針および法令を遵守して実施しますので、ご協力をお願いいたします。
この研究を実施することによる、患者さんへの新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。
本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨を「12 お問い合わせ」に示しました連絡先までお申し出下さいますようお願いいたします。
1 対象となる方
西暦2019年1月1日より2023年12月31日までの間に、【脳神経外科】にて【未破裂脳動脈瘤および破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血】の【診断、治療】のため【入院、通院】し、【診療、手術、検査、リハビリなど】を受けた方
2 研究課題名
承認番号 20211151
研究課題名 脳動脈瘤の予後を規定する因子及び最適な治療法の探索
3 研究実施機関
本研究を実施する共同研究機関(自機関も含む)と責任者
1 |
慶應義塾大学病院 |
氏名 |
戸田 正博 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
教授 |
役割 |
全機関における研究内容の統括・監督 |
2 |
足利赤十字病院 |
氏名 |
柴尾俊輔 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科副部長 |
役割 |
足利赤十字病院における症例の収集・解析 |
3 |
東京歯科大学市川総合病院 |
氏名 |
釜本大 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
助教 |
役割 |
市川総合病院における症例の収集・解析 |
4 |
永寿総合病院 |
氏名 |
金井 隆一 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科主任部長 |
役割 |
永寿総合病院における症例の収集・解析 |
5 |
公立福生病院 |
氏名 |
福永 篤志 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科診療部長 |
役割 |
公立福生病院における症例の収集・解析 |
6 |
済生会宇都宮病院 |
氏名 |
中務 正志 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
主任診療科長 |
役割 |
済生会宇都宮病院における症例の収集・解析 |
7 |
済生会中央病院 |
氏名 |
淺田 英穂 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
部長 |
役割 |
済生会中央病院における症例の収集・解析 |
8 |
済生会横浜東部病院 |
氏名 |
稲葉 真 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科部長 |
役割 |
済生会横浜東部病院における症例の収集・解析 |
9 |
さいたま市立病院 |
氏名 |
小嶋 篤浩 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
部長 |
役割 |
さいたま市立病院における症例の収集・解析 |
10 |
独立行政法人国立病院機構
東京医療センター |
氏名 |
林 拓郎 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科科長 |
役割 |
東京医療センターにおける症例の収集・解析 |
11 |
公益財団法人 脳血管研究所附属美原記念病院 |
氏名 |
赤路 和則 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
副院長・脳神経外科部長 |
役割 |
美原記念病院における症例の収集・解析 |
12 |
独立行政法人国立病院機構
栃木医療センター |
氏名 |
倉前 卓実 |
所属 |
脳神経外科 |
職位 |
脳神経外科部長 |
役割 |
栃木医療センターにおける症例の収集・解析 |
2) 本研究に関係する既存試料・情報の提供のみを行う者
1 |
秋山脳神経外科病院・秋山武和 |
2 |
平塚市民病院・中村明義 |
3 |
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4 |
|
4 本研究の意義、目的、方法
脳動脈瘤は全人口の3-5%の方に認めるとされています。破裂しなければ無症状のことが多く、平均的には破裂率は1%程度と低いため、実際に動脈瘤が頭の中に存在したとしても生活上問題になる確率は低いと言えます。一方で、一度破裂した場合には脳の表面に広く血腫が分布するくも膜下出血を発症します。くも膜下出血では脳の表面に広がった血腫が正常の脳組織を強く圧迫することで広範囲の脳損傷を引き起こします。非常に予後不良の疾患として知られており、発症後3割近い患者様が死亡されます。こうした背景から大きさが5-7mmを超えるような動脈瘤や増大傾向、不整型の動脈瘤、神経や脳組織圧迫などにより症状がある未破裂の動脈瘤に対しては選択的に予防的な血管内(カテーテル)治療によるコイル塞栓術や開頭クリッピング術が行われてきました。また一度破裂した場合には大きさや形状に関わらず出血後の再出血を予防するために同様のコイル塞栓術や開頭クリッピング術が行われます。
4.1 背景(未破裂脳動脈瘤に関して)
動脈瘤の治療に関して未破裂、破裂のそれぞれで未だ解決されていない問題がいくつかあります。未破裂脳動脈瘤の場合は前記の通り比較的大きな動脈瘤や増大傾向を示すもの、症状があるものなどに予防的に治療が行われます。実際の治療現場では非常に大きくても破裂せず、無症状で経過する動脈瘤がある一方で大きさが比較的小さいにも関わらず破裂するような動脈瘤を認めます。また治療によって完全閉塞した後に再増大を示すものもあれば、完全閉塞していなくてもその後増大を示さない動脈瘤も認めます。家族歴がある症例や動脈瘤の存在する解剖学的位置によって動脈瘤の破裂率が異なることがいくつかの研究によって明らかになっていますが、どのような動脈瘤で増大や破裂のリスクが高いのかは未だ完全には明らかになっていません。また未破裂脳動脈瘤の治療は数%で重篤な合併症が生じるという報告もあり決して簡単な治療ではありません。治療は大きく分けて血管内治療と開頭術が行われますが、様々な治療バリエーションがあります。それぞれの治療が固有の治療リスクを持ち、それらは動脈瘤の位置や形状、大きさなどに影響されるため、個々の動脈瘤で治療戦略も異なりますが、個々の動脈瘤の治療リスクを評価し最適な標準治療を確立も完全には確立されていません。こうした背景から増大・破裂のリスクの高い未破裂動脈瘤に治療対象を絞ること、またそれぞれの脳動脈瘤に合わせた標準治療を確立することで、全体的な合併症数や動脈瘤の破裂数を減少させ全体の治療成績を向上させることができると考えられます。
4.2 背景(破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)に関して)
破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血の治療法は上記の通り止血治療として、血管内治療や開頭手術が標準的に行われます。近年、くも膜下出血全体としては、コイル塞栓術の優位性がいくつかの研究で報告されていますが、一方でコイル塞栓術では治療が困難である動脈瘤やクリッピング術の方が明らかに適した動脈瘤も存在します。こうした動脈瘤に対してどのような治療が良いかということに関してはまだ結論が出ておらず、動脈瘤に関して完全な治療の標準化は未だされていません。また止血治療後には脳血管攣縮期と呼ばれる脳梗塞を起こしやすい時期があり、止血治療が順調に行われたとしても、この攣縮期に脳梗塞(遅発性脳虚血とも呼ばれます)が進行し死亡されることもあります。この時期の治療法に関してエリル、オザグレルといった血管拡張薬や抗血小板薬が脳梗塞発症予防のため使用されますが、これ以外にも効果があると言われる薬剤が複数あり、それぞれの施設で経験的に使用されています。これらの内科的治療の多くはその効果が十分には実証されておらずまたそれぞれの治療法の優位性もまだ定まっていません。
4.3 本研究の目的
これまで述べたような背景から今回の研究では未破裂脳動脈瘤の患者様の経過及びくも膜下出血の患者様に行われている治療法やその治療結果を他施設で検証・解析し、脳動脈瘤全体の治療成績を改善させる治療法や薬剤を探索することを目的としています。
本研究では慶應義塾大学病院、研究協力病院での治療内容及び治療結果を治療後に事後に検証・解析を行い、本研究では慶應義塾大学病院、研究協力病院での治療内容及び治療結果を治療後に事後に検証・解析を行います。それぞれの動脈瘤の治療後にその治療経過や治療内容を比較することで、どのような未破裂脳動脈瘤が増大・破裂の危険性が高いのか、それぞれの未破裂脳動脈瘤に対してどのような治療法が適しているのか、それぞれの破裂脳動脈瘤に対してどのような治療法が適しているのか、破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)の手術後にどのような治療が脳血管攣縮、脳梗塞(遅発性脳虚血)の発症を抑制し神経学的予後を改善させるのかを探索します。患者様の診療情報及び画像情報からこれらの情報は取得いたします。情報は研究に登録段階で完全に匿名化され研究の過程で個人が特定されることはありません。研究結果は動脈瘤の治療成績の向上という形で社会に還元されます。また研究結果は学会発表や学会誌への掲載を通じて社会に公表されますが、その際に個人情報が含まれることはありません。
5 協力をお願いする内容
以上の研究目的から未破裂脳動脈瘤及び動脈瘤破裂によるくも膜下出血を発症され診断・治療を受けられた患者様に研究協力者として以下の情報の提供をお願いしております。提供の対象となるのはCT、MRI、血管造影検査などで得られた動脈瘤及び周辺の血管構造、くも膜下出血の程度がわかる医療画像情報、神経学的重症度、どのような手術がされたか、どのような薬剤が投与されたかといった診療情報です。これらは治療後に診療録などから取得いたします。この研究のために新規に検査や処置が行われることはありません。またこの研究によって診療内容や治療内容が影響を受けることはありません。また研究に協力することで研究協力者に費用などを含めて負担が生じることはありません。研究協力に同意いただいた後も研究協力者の方の自由意志でいつでも同意を撤回することができます。ただし学会発表後や学術誌への掲載後には同意を撤回いただいても研究結果として発表されており、撤回を反映することが困難なことがあります。不同意や同意の撤回により診療上、治療上、研究協力者に不利益が生じることはありません。
6 本研究のデータ・結果の取り扱いについて
本研究のデータおよびその結果の所有権は慶應義塾大学に属し研究協力者の方には属しません。
ただし、研究協力者の請求に応じて他の研究対象者等の個人情報等の保護および当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で研究計画書および研究の方法に関する資料を閲覧することができます。下記10の問い合わせ先にご連絡ください。
本研究のデータは完全に匿名化され慶應義塾大学医学部脳神経外科医局内のハードディスクで厳重に保管されます。研究終了後、このデータは復元不可能な状態とされハードディスクは破棄されます。本研究以外にデータが使用されることはありません。
7 本研究の実施期間
2022年8月30日〜2023年12月31日
8 プライバシーの保護について
- 本研究では患者さんの個人情報は一切取り扱いません。
- 本研究で取り扱う患者さんの【画像情報及び診療情報】は、個人情報をすべて削除し、第3者にはどなたのものか一切わからない形で使用します。
- 研究登録後に患者さんの個人情報と、匿名化した【画像情報及び診療情報】を結びつける情報(連結情報)は各施設で保管されますが外部からのアクセスが不可能なところで厳重に保管されます。
9 本研究に関わる利益相反の開示について
本研究に関して研究を行う研究者に利益相反はありません。
10 研究計画書等の開示・研究に関する情報公開の方法
本研究の研究計画は慶應義塾大学脳神経外科のホームページで公開され自由に閲覧することができます。告知を行うホームページは以下のものになります。内容については個人情報の保護、当該研究の独創性の確保に支障がない範囲内で開示されます。
https://www.neurosurgery.med.keio.ac.jp/index.html
11 研究結果の開示について
本研究は完全な匿名化後に治療が終わった事後に行いますので本研究結果が治療内容に影響を与えることはなく、匿名化により個々の結果から個人を特定したり、また個人の名前などから研究の解析内容を特定することはできませんので研究対象者へ結果が直接開示されることはありません。本研究の研究結果は学会、研究会や、学術誌上で公表されます。その際に個人が特定されるような情報を含むことはありません。
12 お問い合わせ
本研究に関する質問や確認のご依頼は、下記へご連絡下さい。
また本研究の対象となる方またはその代理人(ご本人より本研究に関する委任を受けた方など)より、【画像情報及び診療情報の提供】の停止を求める旨のお申し出があった場合は、適切な措置を行いますので、その場合も下記へのご連絡をお願いいたします。
東京歯科大学市川総合病院脳神経外科 研究責任者 釜本大
272-8513 千葉県市川市菅野5-11-13
Tel: 047-322-0151
以上