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泌尿器科の治療について

コンテンツ

前立腺肥大症について

前立腺肥大とは

前立腺は膀胱の出口で尿道を取り囲むように存在しています。前立腺が大きくなることを前立腺肥大と呼び、尿道を圧迫することでさまざまな排尿症状を引き起こします。具体的にはおしっこに勢いがない、すぐトイレに行きたくなる、残尿感がある、などの症状が出現し、重症になると尿閉(おしっこが全く出せない状態)になります。

IPSS/QPLスコアなどのアンケート、排尿の勢いの検査や残尿測定、TRUSというエコー検査などで診断をします。前立腺肥大症の診断がされると、まずは内服加療から始めます。それでも効果が薄い場合には手術療法が適応となります。

手術

当院では前立腺肥大症に対して、従来から行われてきたTURP(経尿道的前立腺切除)に加えTUEB(経尿道的前立腺核出術)という新しい手術を行っております。

TURPは前立腺組織を削り取るものであるのに対し、TUEBは肥大した前立腺の腺腫(内腺)のみをくりぬく手術です。

前立腺をミカンに例えると、TURPはミカンを内側から削り取るため、途中で果汁(血液)が多くでてしまいます。TUEBではミカンの果実の部分を皮から剥がしてしまうので果汁(血液)が漏れ出しません。よって術中の出血が少なく、安全に手術を行うことが出来ます。また、TUR症候群(手術中に使用する非電解質灌流液が原因で悪心・嘔吐や血圧低下などを引き起こす合併症)の発生も予防することが出来ます。

特に大きな前立腺肥大に対して、合併症のリスクを最小限にしながらもTURPと同等以上の治療効果が得られることが知られています。

当院では年間50件の症例を経験しており、前立腺体積が100mlを超えるような巨大な前立腺肥大の症例も少なくありません。

排尿でお困りの方はぜひ一度ご相談ください。

前立腺癌について

前立腺がんとは

前立腺は男性のみが持っている臓器です。膀胱の出口の尿道を取り囲む形で存在しており、栗の実のような形と大きさをしています。精液の一部分を作っており、射精や排尿の調節に関わっています。
アメリカでは前立腺癌は、男性に発生する癌の第一位で、日本でも近年増加傾向にあります。一昔前は、進行癌の状態で見つかることが多かったのですが、最近ではPSA(prostate specific antigen=前立腺特異抗原)という優れた腫瘍マーカーの普及もあり、より早期に発見される様になってきています。

症状

初期はほとんどが無症状で、進行すると以下の症状があらわれてきます。

  1. 排尿に関する症状
    前立腺癌の好発部位は前立腺の中でも尿道から離れた辺縁領域です。そのため癌が大きくなるまでは尿の通過障害は起こらず、癌が進行してくると、残尿感、頻尿、尿意切迫感等の症状が起こることがあります。
  2. 局所浸潤症状
    癌が尿道や膀胱、精嚢など周囲の隣接臓器に浸潤する時に、様々な症状を招きます。尿道に浸潤すれば血尿、排尿困難が生じ、精嚢に浸潤すれば血精液症といって精液が赤くなります。さらに尿管まで浸潤すると、尿管の拡張、腎盂、腎杯が拡張する水腎症、ついには腎不全に至ることも有ります。
  3. 転移癌の症状
    前立腺癌は骨に転移しやすい癌です。排尿に関する症状はないのに、腰痛などで骨の検査をうけたことで前立腺癌が発見されることもあります。

診断

PSA

前立腺から分泌されるPSAという物質の血液中の濃度が高いと前立腺癌が疑われます。正常値上限値は4.0ng/mlで、他の臓器に癌があってもPSAは上昇しません。グレーゾーンと呼ばれる4.1~10.0ng/mlでは20-30%に、10.1ng/ml以上では40%以上に癌がみつかるといわれています。

直腸診

肛門から指を入れて、前立腺の表面を触る検査です。前立腺に硬い部分があると癌の疑いが高くなります。

MRI

前立腺癌が前立腺内のどの部位にあるのか、前立腺内にとどまっているか、前立腺の外に進展しているか確認する為に行います。

前立腺針生検

PSA、直腸診、超音波検査、MRIで、癌の疑いがあれば行います。肛門から超音波検査プローブを挿入し、超音波で確認しながら前立腺に針を刺し、組織を採取します。採取した組織は病理医が顕微鏡で見て、癌の有無を判断します。当院では1泊入院で検査を行います。

当院では3D経直腸超音波機器として、アムコ株式会社のKOELIS UROSTATION TRINITYを使用しております。本機器は術前のMRI画像と超音波画像を同期させることができ、MRI画像で癌が疑わしい場所を狙って針生検することができるので、診断精度が高くなると言われています。

以下は、前立腺癌の診断がついた方に行われる検査です。

CT

前立腺癌の診断が針生検で確定した場合に前立腺癌が他の臓器やリンパ節へ転移していないかどうか確認する為に行います。

骨シンチグラフィー

前立腺癌は骨に転移しやすいので、骨に転移していないかどうか確認する為に行います。

治療

前立腺癌の治療を進めるには、癌の体内での広がり具合をはっきりさせなくてはなりません。癌の進行の度合いは病期と呼ばれ、A~Dに分類されます。

病期A 偶発癌(前立腺肥大症の手術の際に採取した組織にたまたま癌がみつかるもの)
病期B 前立腺内に限局していて、転移のないもの
病期C 前立腺被膜を超えるか精嚢、尿道に浸潤しているが転移のないもの
病期D 転移を有するもの

これらの病期、患者さんの年齢や健康状態等を総合的に考えて治療方針を決定していきます。主に以下の治療法があげられます。

手術

癌が前立腺内にとどまっていれば根治的前立腺全摘術を選択することができます。 前立腺を摘出し、膀胱と尿道を吻合する手術ですが、当院では積極的に、腹腔鏡を用いて行う腹腔鏡下前立腺全摘術を行っております。へその下、下腹部に計5箇所の1cm前後の小切開をあけ、カメラ・器具 を挿入する筒(ポートといいます)を取り付けて手術を行います。当手術のメリットとして、(1)切開創が小さい事(2)出血量が少ない事(3)尿道を拡大して見ることができるために丁寧に尿道を縫うことができ、結果として尿道カテーテル留置期間が短い事、等が挙げられます。順調であれば術後5~6日で退院となります。当院では4人の腹腔鏡技術認定医が在籍しており、エキスパートとして手術を施行しております。

最近前立腺癌に対しロボット手術が保険適応となり、日本でもロボット手術を行う施設が増えております。ロボット手術は鉗子に関節が多く、より細かい作業を行うことができるといわれてはおりますが、一方で触覚がないため同時に危険を伴うともいわれております。我々の施設では腹腔鏡手術を行い、触覚を生かしたより細かい手術を心がけております。

手術後の合併症として、尿失禁や勃起不全があげられますが、癌の場所によっては、勃起神経を温存して手術を行うことも可能です。

放射線治療

放射線で癌細胞を死滅させる方法です。放射線をあてる方法には、体外から放射線をあてる外照射と、前立腺に放射線の線源を埋め込む永久挿入密封小線源療法(brachytherapy)があります。当院では外照射として、従来よりも副作用が少なく治療効果の高い強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)も行っております。放射線治療の副作用には、尿失禁、頻尿、排尿時痛等の排尿障害、勃起障害等の性機能障害、下痢、肛門痛、直腸出血などがあります。

内分泌療法

前立腺癌は男性ホルモンにより増殖します。その男性ホルモンの働きを抑える治療法が内分泌療法です。ほとんどの前立腺癌がこの治療によく反応しますが、徐々に効かなくなってくる例もあります。精巣摘除術や、LH-RHアゴニスト剤に、抗男性ホルモン剤内服を組み合わせて体内の男性ホルモンの働きを抑えます。女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤が前立腺癌に有効な場合もあります。内分泌療法の副作用として顔が熱くなったり、汗をかいたり、動悸がしたりするといった 「ホットフラッシュ」や性欲減退や勃起障害などが挙げられます。内分泌療法によって骨粗鬆症にかかりやすくなるといわれております。

化学療法

いわゆる『抗がん剤』による治療です。内分泌療法が効かなくなった前立腺癌に対して一般的に行われる治療です。ドセタキセル、カバジタキセルという薬剤を中心に使用します。副作用として脱毛、嘔気、嘔吐、骨髄抑制等があります。骨髄は血液の製造所であり、赤血球が少なくなれば貧血、白血球が少なくなれば易感染性(細菌、ウィルス等に感染しやすくなる)、血小板が少なくなれば易出血性(血が止まりにくくなる)という副作用をきたすことがあります。

PSA監視療法

前立腺癌と診断されても非常に早期でさらに癌も穏やかであると判断した場合には、PSA監視療法という方法があります。これは無治療のまま、PSAの結果や定期的針生検の結果を観察するというものです。PSAの数値や生検で得られた前立腺組織から癌の増悪が疑われる場合は手術・放射線治療・内分泌療法などの他の治療法を検討します。

当院での取り組み

前立腺癌の治療は多様で、病期、年齢、健康状態等を考慮し、患者さんのご希望にあった適切な治療法を選択しています。当院の特徴として、既に述べましたが、術前のMRI画像と超音波画像を同期させることで診断精度を上昇させた経直腸的前立腺針生検、熟練した腹腔鏡下前立腺全摘術、最新の外照射(IMRI)があげられます。ご質問等何かありましたら当院泌尿器科外来までお問い合わせください。

腎細胞癌(腎癌)について

腎臓とは

腎臓は後腹膜腔(腸などがある腹腔を包む腹膜の背中側)に位置し左右1つずつある臓器です。

主な働きは血液をろ過し老廃物や水分から尿を生成したり、血圧をコントロールするホルモンや造血のためのホルモンを生成することです。

腎臓に発生する癌とは

成人の腎臓に多く発生する癌には腎実質(尿を作っている部分)から発生する腎細胞癌(腎癌)と腎盂(尿が集まり尿管へと流れ出ていく部分)から発生する腎盂癌があります。腎盂癌は性質上膀胱癌に近くここでは腎細胞癌について記載します。

2013年の死亡数では男性約6000人 女性約3300人で全死亡数の約2.5%をしめています。罹患数では男性約1万6千人、女性約8千人と 部位別がん罹患率では腎臓(腎盂癌も含む)癌は男性で26.8%、女性で12.6%となっています(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)。

腎細胞癌を引き起こす原因としては肥満や喫煙が挙げられます。

症状

近年は検診で早期発見ことが多く自覚症状がないことが多いです。腫瘍が大きくなると痛みや血尿が出てきます。

さらに癌が広がると倦怠感、食欲不振、貧血、発熱などが出現します。

診断

腎細胞癌が疑われたらCT、MRIなどで腫瘍の広がり具合(ステージ)を調べます。

進行具合によって治療指針が定められていますが患者さんの背景が異なるため個々の患者さんに合わせた治療を行っていきます。

TNM分類

T1a 腎細胞癌の直径が4cm以下で腎臓にとどまっている
T1b 腎細胞癌の直径が4~7cmで腎臓にとどまっている
T2a 腎細胞癌の直径が7~10cmで腎臓にとどまっている
T2b 腎細胞癌の直径が10cmを超えるが腎臓にとどまっている
T3a 腎細胞癌が腎静脈または周囲の脂肪組織に及んでいるがGerota筋膜を超えない
T3b 腎細胞癌が横隔膜より下の大静脈内に伸展している
T3c 腎細胞癌が横隔膜の上の大静脈に伸展または大静脈壁に及んでいる
T4 腎細胞癌がGerota筋膜を超えて伸展または同じ側の副腎に及んでいる

病期分類

  転移の有無
転移を認めない 他の臓器に転移はないが
所属リンパ節に1個転移がある
他の臓器に転移があるか
所属リンパ節に2個以上転移がある


T1
T2
T3
T4

腎細胞癌の場合転移があっても腎臓の摘出術が可能であれば手術を行います。

手術治療

部分切除術

癌がT1a(4cm以下)の場合原則として部分切除術を行います(腫瘍の部位などにより部分切除ではなく根治的切除術になることがあります)。腹腔鏡もしくは開腹手術により行います。確実に腫瘍を摘出でき、かつ腎機能の温存の点でもメリットがあります。

根治的摘除術

癌が大きく部分切除が不可能な場合は腎臓をすべて摘出する手術を行います。

通常は腹腔鏡で摘出しますが、癌が大きい場合や周囲への伸展が見られる場合は開腹手術で行うこともあります。

腹腔鏡下腎摘出術の場合1週間程度の入院となります。当院では泌尿器内視鏡学会が認定する腹腔鏡技術認定医の資格を保有した腹腔鏡のエキスパートが手術を行います。

また腹腔鏡よりもさらに少ない数の創あるいは小さな創で手術を行う単孔式腹腔鏡手術やtxtReduced port surgeryを積極的に取り入れ患者さんの負担をより少なくするよう心がけています。

凍結療法

従来は、癌の摘出手術が必要な患者さんでも高齢や合併症などがあるため手術ができないことがありましたが、当院では体の外から腫瘍に針を刺し腫瘍を凍結させることで癌細胞を死滅させる凍結療法の治療を行っております。

癌がT1a(4cm以下)の早期の場合に限りますが局所麻酔での治療も可能なため体への負担が少なく、高齢者や合併症を持った患者さんの治療が可能になりました。

薬物療法

手術ができないあるいは転移がある場合は免疫療法や分子標的薬を使った治療を行います。

腎不全について

腎不全とは

腎臓の働きが低下した状態をいいます。ただし、その程度には軽度のものから重度のものまであります。

腎臓は比較的予備能があり、慢性腎不全の多くは数年以上の経過でゆっくりと進行しますから、かなり進行するまでは自覚症状がきわめて乏しいか、まったくないこともよく見られます。
しかし、腎不全が進んで尿毒症という状態になると、だるさや吐き気・食欲不振・頭痛などのほか、呼吸困難感・出血症状などのさまざまな症状がでてきます。
さらに、腎臓の働きが10%以下になり、老廃物を十分に排泄できない状態となった場合は、血液透析や腹膜透析または腎移植術を受けないと死に至ってしまいます。

腎不全には急性腎不全と慢性腎不全があります。
急性腎不全は、腎機能を悪化させた原因が取り除かれれば、通常、腎臓の機能は回復します(可逆性)。
慢性腎不全は、数ヶ月から数十年の長い時間をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなり回復しない状態をいいます。一般的に末期に至るまで、自覚症状にも乏しく長い年月がかかるため、外来での治療が中心になります。

2016年末の透析患者総数は31万人を超えています。
以前は、新しく導入される患者さんの原因疾患のうち最も多かったのは慢性糸球体腎炎でしたが、糖尿病性腎症が増えてきて、1998年からは透析導入となる患者さんの原因疾患のトップになりました。

腎不全の症状、身体的所見

本来は尿に排泄されるはずの物質が体内に貯留することで様々な臨床症状を呈する状態を尿毒症といいます。
血清クレアチニン8mg/dlが透析導入のひとつの目安となりますが、尿毒症症状がでた場合には、血清クレアチニンが8mg/dlに達していなくても血液透析を開始することを考慮しなければなりません。
末期腎不全に伴う症状には以下のようなものがあります。

体液貯留 全身性浮腫、高度の低タンパク血症、肺水腫、胸水、腹水など
体液異常 管理不能の電解質、酸塩基平衡異常など
消化器症状 悪心、嘔吐、食思不振、下痢など
循環器症状 重症高血圧、心不全、心包炎など
神経症状 中枢、末梢神経障害、精神障害など
血液異常 高度の貧血、出血傾向など
視力障害 浮腫による網膜剥離、眼底出血など

とくに、肺水腫、心不全、高カリウム血症、強いアシドーシスといった症状がでた場合には、速やかに透析を開始することが必要です。

腎不全の治療

進行した腎不全の治療法には、大きく分けて2つの治療法があります。ひとつは、人工的に、腎臓の働きを補う『透析』、もうひとつは、他の人から腎臓を移植する『腎移植』です。

透析

透析は腎臓とほぼ同じ働きをする装置を使って、人工的に腎臓の働きを補う方法で「血液透析」と「腹膜透析」があります。

血液透析について

血液透析は腕の動脈と静脈とをつないで血流を増やした『シャント』と呼ばれる血管を作り、そのシャントから3~4時間かけて血液を透析器に通して老廃物を濾過します。
週3回の通院が必要となります。ふつうの人が24時間かけて行う作業を数時間で行うわけですから、人によってはかなり体の負担が大きくなります。

血液透析の役割は以下のようにまとめることができます。

尿毒素を取り除く
本来なら腎臓から体外に排泄されるべき老廃物(尿毒素)を、ダイアライザーを用いて取り除きます。

余分な水分を取り除く
本来なら腎臓から体外に尿として排泄されるべき水分を取り除きます。

電解質を調整する
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなどの血液中の電解質が過剰な場合は透析液に排泄し、不足した場合は透析液から補って正常域に整えます。

血液のpHの調整をする
血液が正常の弱アルカリ性になるように血中の酸を取り除き、アルカリ(重炭酸)を透析液から補います。

このように、透析治療は腎機能のかなりの部分を代行してくれますが、本来の腎臓のうち透析療法では代行できない機能もあります。たとえば、腎臓はエリスロポイエチン分泌やビタミンDの活性化を行うという内分泌器官としての機能ももっていますが、これらは透析療法では代行できませんので、別個に治療薬として投与する必要があります。

また、後述するダイアライザーは物質の大きさだけで、通すものと通さないものを決めているので、本来は除去する必要のないアミノ酸、ビタミン類などの小さな分子を除去してしまったり、本来は除去しなければならないβ2-ミクログロブリン等の大きな物質を十分に除去できなかったりという欠点があります。

血液透析治療は1回3から4時間、週3回行うことが一般的です。
透析導入時で尿量がある程度確保されている場合や残腎機能が十分に残っている場合には、よりすくない透析とすることが可能です。

腹膜透析について

腹膜透析は腹膜というおなかの内臓を覆っている膜(腹膜)を利用して、血液の濾過を行う方法です。腰椎麻酔、または局所麻酔にて下腹部を切開し腹腔内にカテーテルを植え込む手術が必要となります。そこから透析液を流し込み、血液中の老廃物や過剰な塩分、水分を、腹膜を通して透析液の方へ移動させ、体の外に捨てることで血液浄化を行う治療法です。

頻回な通院が必要なく自己管理ができますが、腹腔内にカテーテルが留置されているため感染症(腹膜炎)を起こしやすかったり、お風呂に入るのがやや不便であったりします。

腹膜透析は必ずしも一生続けられる治療法ではなく、難治性腹膜炎、除水不足、被嚢性腹膜硬化症などによって、腹膜の機能は徐々に低下するため、腹膜透析を5年以上にわたって施行することはあまり推奨されていません。
腹膜透析療法は永久的治療法ではなく、長所を最大限に引き出し、長期透析合併症の遅延をはかり、腹膜の劣化が示唆された時点で速やかに中止します。つまり腹膜透析は、いずれは血液透析、または腎移植に移行しなければなりません。

しかし血液透析に移行するまでの間、患者さんのQOLをあげることができ、移植を受ける機会が巡ってくるかもしれません。

腎移植についてはこちらから

腎移植について

腎移植とは

腎移植は病気で働きを失った腎臓に代わり、提供された健康な腎臓にその働きを代行してもらう方法です。

透析は腎臓とまったく同じ機能を代行することはできないため、現時点では腎移植が『腎不全の根本的治療に最も近い治療法』といえます。ただし、比較的大きな手術が必要なことや、移植後に合併症を起こす可能性があること、免疫抑制剤を一生飲み続けなければならないため、その副作用などが問題となります。

それでも若いときから透析を長期に受ける場合と、若いときに移植を受けた場合では、移植を受けた方が、安全に寿命が延びるといわれています。

『生体腎移植』と『献腎移植』

腎移植には大きく分けて『生体腎移植』と『献腎移植』とがあります。生体腎移植は、自発的に腎臓を提供してくださる方(腎提供者=ドナー)から2つある腎臓のうちの1つを頂いて、患者さんに移植する方法です。

一方、献腎移植は、脳死または心停止の方から腎臓の提供があった場合に、その腎臓を移植する方法です。

腎移植を行うと、健康な人と同じように24時間かけて尿をつくり、自然に排泄できるようになり、全身の状態も安定します。また透析療法の煩わしさから解放され、食事制限もほとんどなくなります。女性では、妊娠、出産が可能になりますし、お子さんではほぼ正常に近い発育も期待できます。

現在、腎移植を受けた方のほとんどが社会復帰を果たしています。

生体ドナーについて

ドナーに適するのは、基本的に健康な方です。

最近では腹腔鏡手術の導入により、手術後の傷の痛みもかなり少なく、回復も早くなりました。ただし最も大切なことは、ドナー自身がレシピエントや家族、親戚、医療従事者らの精神的圧力なく、自発的に腎臓の提供を申し出ていることです。

原則として血縁者では6親等以内、非血縁者では配偶者と姻族3親等以内が、生体ドナーとして臓器を提供することができます。

ドナーになるには医学的に定められた条件はありませんが、腎臓を提供することが、手術後の健康と生活に支障を来さないことが大前提です。

悪性腫瘍がない、感染症がない、腎機能が良好であること等が条件であり、心疾患、糖尿病、高血圧等他の疾患がある場合にはこれらを優先して治療していただき、主治医によりドナーとなることが可能であると判断されればドナーとなっていただくことができます。

血液型は同じ血液型の組み合わせが望ましいのですが、違う血液型でも移植可能です。

さらに術前にドナーのリンパ球に対する抗体が、レシピエントの血液中にないことを確認します(リンパ球クロスマッチ、フローサイトクロスマッチ)。ドナーとレシピエントを同じ日に採血して血液同士を混ぜ合わせて反応を見る検査です。この検査が陽性だと、拒絶反応を起こす可能性が高くなります。

年齢の上限は特に決まっていませんが、通常は70歳以下が望ましいとされています。ただし、十分健康で手術や術後の生活に耐えられると担当医が判断すればその限りではありません。

腎移植手術

レシピエントの手術は、右または左下腹部に15cmほどななめに切開し、提供された腎臓を右または左下腹部に移植します。この場所のほうが、安全に手術をすることができ、その後の管理や生検がしやすいためです。

生体ドナーの手術は腹部に各1cmの傷を3−4カ所つくり、腹腔鏡で行います。腎臓を取り出すための傷が必要となるので、下腹部のひとつの傷は5cmほどに切開を延長する必要があります。腹腔鏡手術には「痛みが少ない」「術後の回復が早い」「入院期間が少なくてすむ」「傷が小さいので感染を起こしにくい」「審美的にもよい」等のメリットがあります。

一般的には腎静脈が長く手術をより安全に施行できる左の腎臓を摘出しますが、ドナーの状態によっては右の腎臓を摘出する場合もあります。

腎移植術後合併症

拒絶反応

移植手術をして、もともと自分のものではない腎臓が体内に入ってくると免疫が働いて移植した腎臓を攻撃します。

これが拒絶反応です。

免疫は体内に細菌などが侵入したときにこれをやっつける働きがあり、生きていく上で非常に大切なものですが、移植後は免疫をコントロールして、新しい腎臓を守らなければなりません。

移植した腎臓がある限り、拒絶反応は起こりうるため、免疫抑制剤を一生のみ続ける必要があります。

感染症

拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤をのむと、免疫力が落ちるため抵抗力が弱くなり感染症にかかりやすくなります。

健康な人ではほとんど害を及ぼさない真菌やサイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス等のウイルスにも感染しやすくなります(日和見感染)。感染症が疑われる症状としてはサイトメガロウイルス肺炎、ニューモシスチス肺炎等であれば発熱、咳、息切れ等、BKウイルス感染であれば血尿等、水痘帯状疱疹ウイルス感染症であれば発疹等があげられます。

感染症を防ぐために、ペットの飼育をさける、人ごみは避ける、うがい、手洗いを励行する、必要に応じてマスクをつける等の日常生活からの注意が必要です。

preemptive腎移植

近年では血液透析や腹膜透析を経ずに腎移植を受けるpreemptive(先行的)腎移植もさかんに行われております。
preemptive腎移植は内服コンプライアンスやドナーへの感謝の面において通常の腎移植と比較して劣るともいわれていますが、尿量減少に伴う排尿機能の悪化を防ぐ意味もあり、長期成績が良好なことから積極的に行われております。

献腎移植登録

ご家族に腎移植ドナーとなっていただける方がいらっしゃらない慢性腎不全患者さんは日本臓器移植ネットワークに献腎移植登録をすることができます。

脳死、または心臓死の方から腎臓を提供された場合、その腎臓を移植することができます。

手術は緊急手術となり、現在本邦では平均待機日数は15年以上です。

献腎移植登録をご希望の方は、泌尿器科腎移植外来(月曜日午後)にて、手続き方法等をご説明しますので、ご予約をお取りください。

膀胱がんについて

膀胱とは

膀胱は下腹部の骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂(じんう)、尿管を経由して運ばれ、一時的に尿を貯留する袋の役割をもっています。

膀胱がんとは

膀胱がんは、膀胱の粘膜ががん化することによって引き起こされます。そのうち大部分(90%以上)は尿路上皮がんという種類です。

膀胱がんは画像診断やTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術) による診断により、
・表在性膀胱がん(表在性がんおよび上皮内がん)
・筋層浸潤性膀胱がん
・転移性膀胱がん
に大別されます。

筋層非浸潤性膀胱がん

表在性膀胱がんはカリフラワーやイソギンチャクのように表面がぶつぶつと隆起し、膀胱の内腔に向かって突出しています。

通常、表在性膀胱がんの治療は内視鏡手術であるTURBTで行われます。

しかし、表在性膀胱がんは膀胱内に再発しやすいという特徴があり、再発のリスクが高いと判断された場合には予防的に膀胱内注入療法(抗がん剤やBCG)を実施することがあります。

当院では小さながんの見逃しの予防や再発の早期発見のために、膀胱鏡検査やTURBT時に通常の膀胱鏡観察に加え、狭帯域光観察(NBI)や光力学的診断(PDD)という特殊な観察方法を導入しています。

筋層浸潤性膀胱がん

膀胱の筋層に浸潤したがんです。このがんは膀胱壁を貫いて、壁外の組織へ浸潤したり、リンパ節や肺や骨に転移を来す危険性があります。

通常、筋層浸潤性膀胱がんに対しては膀胱全摘除術が標準治療となりますが、その際には尿路変更が必要となります。

当院では患者さんの状態や病状にもよりますが、膀胱全摘除術を腹腔鏡で行うことも可能です。

尿路変更に関しても回腸導管(人工肛門)のみならず、対象となる症例には積極的に代用膀胱(小腸で作成した膀胱)も採用しています。

また、浸潤性膀胱がんであっても、当院では膀胱を温存できる可能性のある一部の患者さんに対して、抗がん剤の治療と放射線療法を組み合わせた膀胱温存療法にも取り組んでいます。

それぞれの患者さんの状況に合わせて治療方針を提案いたしますので、ご相談下さい。

転移性膀胱がん

原発巣の膀胱がんが、他臓器(リンパ節、肺、骨、肝臓など)に転移した状態をいいます。

転移性膀胱がんに対しては全身化学療法が標準治療となります。

また化学療法の効果がない場合や化学療法の効果がなくなった際は2次治療として新規の治療であるがん免疫療法(抗PD1抗体)も当院では施行可能となります。