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鼻副鼻腔専門外来のご案内

コンテンツ

鼻副鼻腔専門外来

副鼻腔炎について

耳鼻咽喉科において最も診療する疾患であり、古くから病態と治療の多くの研究がなされています。現在は、副鼻腔炎の病態も化膿性副鼻腔炎だけでなく、アレルギー因子を含んだ好酸球性副鼻腔炎などの難治性副鼻腔炎が指摘され、病態を複雑化しております。このような状況の中で当院では鼻副鼻腔疾患に対し、適切な検査・治療、適切な情報を提供できるようにしております。


慢性副鼻腔炎で薬物治療の効果が乏しい患者さんには、形態の是正と最小の侵襲を考慮にいれた手術療法を行います。内視鏡による手術であり、細部まで死角なく繊細な手術操作が行えるようになっており、さらに手術支援機器としてシェーバーシステム、ナビゲーションシステムなど手術操作を安全にかつ容易にしております。また内視鏡下手術の適応拡大として、眼窩内病変へのアプローチ、副鼻腔・下垂体腫瘍への応用と高度な医療をも率先して行っております。

鼻中隔弯曲症について

形態的な問題で鼻閉を起こす疾患であり、成長の過程で生じます。しかし外傷によって生じた場合は、鼻中隔が骨折や脱臼していることが多く、難治性となります。


鼻中隔弯曲症による鼻閉で薬物・点鼻治療の効果が乏しい患者様には、形態の是正と侵襲を考慮にいれた手術療法を行います。内視鏡で鼻中隔中央部分を切除する方法、鼻内のみ(外切開などは行わず)で再建まで行う方法、さらには鼻柱の外切開をして外鼻形態の処置まで行う術式があります。それぞれの患者様にとってどの治療が最良かを判断します。

鼻副鼻腔疾患治療実績(2020年4月~2021年3月)
鼻副鼻腔手術 計700

内視鏡下鼻・副鼻腔手術 208
鼻中隔矯正術 94
鼻骨変形治癒骨折矯正術 37
粘膜下下鼻甲粘膜切除術 242
鼻腔粘膜焼灼術 79
経鼻的翼突管神経切除術 29
鼻骨骨折整復固定術 2
眼窩吹き抜け骨折整復術 1
鼻茸摘出術 4
頭蓋底手術(下垂体など) 4

副鼻腔炎とは?

副鼻腔とは鼻の周りにある空洞で鼻の働きを補助する場所です。
つまり温度・湿度の調整を補助したりする空調器官と考えて下さい。

鼻の役割:

  1. 匂いを嗅ぎます。
  2. 呼吸する際の空気調節をします。温度・湿度の調整,ほこりなどの濾過、感染防御をしています。この作用がなくなると鼻の乾燥、炎症を起こしやすくなります。
  3. 音の共鳴。鼻閉があると鼻づまり声となります。

副鼻腔

副鼻腔炎

そして副鼻腔炎とは、この副鼻腔という空洞に炎症を起こして膿がたまってしまったりするもので、いわゆる蓄膿症と言われる病気です。

原因としては、感染・アレルギー・鼻茸・粘膜機能障害・鼻中隔弯曲症(真ん中にある軟骨や骨が曲がっている病気)など色々なものが原因となります。

好酸球性副鼻腔炎

副鼻腔粘膜に著明な活性好酸球浸潤した副鼻腔炎であり難治性副鼻腔炎に属しています。従来の副鼻腔炎にくらべ、病変が篩骨洞優位に出現するために早期に嗅覚障害が出現しやすく、しばしば喘息を合併いたします。手術を施行しても従来の副鼻腔炎に比べ予後は悪いとされていますが、手術を行うことで病態・症状のコントロールを良好にすることができております。好酸球性副鼻腔炎の病態悪化は、喘息に悪影響があり、鼻手術をすることで下気道に好影響を与えるとされます。そして術後にステロイドの投与、自宅での生理食塩水にての鼻洗浄や抗アレルギー薬を使用し、術後1年では嗅覚障害をはじめとする鼻症状を良好にコントロールできております。但し、再燃の危険性があるので定期的な外来にての経過観察が必要になります。

鼻茸ってなに?

鼻茸とは、粘膜にできる炎症性のできもので鼻ポリープともいわれるものです。
これができていると鼻のとおりを悪くし、鼻閉を起こしたりします。そして鼻と副鼻腔の交通を妨げ副鼻腔炎の原因となってしまいます。

鼻茸とは

慢性副鼻腔炎の症状・診断方法

症状は・・

鼻がつまる、鼻汁がでる、鼻汁が口に落ちてくる(後鼻漏)、頬が痛い、眼の奥が痛い、歯が痛い、頭痛、匂いがしない・・と様々な症状を起こします。

鼻閉により口呼吸・睡眠障害を起こすこともあります。
鼻の奥よりノドへ鼻汁が落ちてくるものを後鼻漏と言い、ノドの炎症も起こすことがあります。
副鼻腔炎が悪化すると場合によっては眼の病気(眼窩蜂巣織炎、膿瘍)や頭の病気(脳膿瘍、髄膜炎)を起こすこともある怖い病気でもあります。

慢性副鼻腔炎
       慢性副鼻腔炎

検査は・・

鼻のなかを内視鏡というカメラで見たり、CTスキャンなどを行い調べます。CTとは断層写真のことで空気は黒く写ります。副鼻腔は空洞ですので黒く写るのが正常なのですが、灰色に変化していると慢性副鼻腔炎となっているのがわかります。
また症状によっては色々な検査が加わります。嗅覚障害慢性副鼻腔炎に対して注射による嗅覚検査や季節性ある鼻閉などに対してのアレルギー検査がそうです。

慢性副鼻腔炎の治療法

鼻入口部まである病変
鼻入口部まである病変

吸入治療
吸入治療

治療は、粘膜の炎症をとり、鼻汁や膿をなくすようにします。内服治療、局所処置・吸入治療、手術療法などがありますがポリープがあり病変が高度で内服治療では治らないと判断されると手術療法が選択されます。そのためポリープが大きくなってしまう前に炎症をとるようこまめな通院が必要となります。

内服治療

  1. 抗生物質・・少量長期投与で細菌の急性増悪を抑制
  2. 粘液溶解剤、消炎酵素剤・・粘膜の炎症をなくさせます
  3. 抗アレルギー剤・・アレルギーによる炎症をなくします

局所処置・吸入治療・・

炎症のある粘膜に直接霧状の薬をつけたり、粘性鼻汁をなくすようにします。

内服治療、局所処置・吸入治療を1~3カ月行い病変に変化がない場合、手術療法(内視鏡的鼻内副鼻腔手術)が選択されます。鼻内と副鼻腔との交通を大きくつける事で膿をなくして副鼻腔内の病変を改善させるのです。

手術療法(内視鏡的鼻内副鼻腔手術)

手術治療においては、以前に一般的に行われていた歯茎や眉毛の部分を切開して行う鼻根治手術とは異なり、鼻の生理機能を温存した低侵襲の手術を行っています。近年、内視鏡手術の適応範囲は広がっており、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(後鼻神経切断術)、副鼻腔嚢胞、副鼻腔真菌症は元より、鼻副鼻腔乳頭腫などの易再発性の副鼻腔腫瘍や2015年に難病に指定された好酸球性副鼻腔炎に対しても積極的に手術を行っています。最近では、好酸球性副鼻腔炎再燃や以前の不十分な手術により再手術治療の対象になっている症例が増加しています。再手術例は鼻副鼻腔形態異常や出血しやすいなど、初回例に比べ手術の難度が高くなります。そのため、危険を回避するためにナビゲーションシステムを導入し、円滑な手術操作ができるようになっております。鼻科手術認可研修施設として最新機器を使用することで、重症例や再手術例などの難治例であっても、安全かつ的確に手術を行っています。
手術的治療の目的は、各副鼻腔を単洞化させ、換気と排泄を促し、薬物療法を加えて、副鼻腔粘膜の再生を促すことです。

手術方法

手術方法:

右図のような体位で手術を行います。鼻の中に内視鏡を入れてテレビ画面を見ながら手術は行われます。下図の様に骨を削って副鼻腔との交通をつけます。手術時間は片側約1時間ですが病状により多少前後します。最後に出血を止めるために血液を吸収するための綿が入って手術は終わります。(ガーゼは入りません)

手術方法
手術方法

手術後:

手術後、鼻内を乾燥させるのは良くないため鼻入口部に綿球を付けて頂きます。また鼻内に入っている綿が溶けてきますので、術後処置として溶けた綿を吸引除去致します。点滴は翌日まで行い、手術後2~5日程度で退院となります。

合併症:

入院中は疼痛、腫脹、発熱、感染、出血の可能性があります。また嗅覚障害や視力障害が一過性に起こる可能性もあります。高度障害としては眼が損傷する可能性もあります。

退院後:

退院して1~2週間後に最初の外来となります。最初の外来では、残っている綿を除去します。綿が入っている間は、嗅覚がなく、鼻閉もあります。通院をしてアレルギー・喘息などのコントロールなどをしないと再発してしまう可能性があります。症状は楽になりますがしっかりと定期的に通院をしましょう。
また難治性副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎と診断された場合は、再発傾向が強いため厳重な術後加療が必要となります。

鼻中隔弯曲症とは?

鼻中隔弯曲症とは

鼻中隔は鼻の中を左右に分けている板状の構造物で鼻および鼻内の形態を維持しています。鼻中隔は軟骨と2つの骨からできていて、体の成長と共にそれぞれの軟骨・骨も成長します。しかし軟骨や骨が成長しすぎると余剰分が盛り上がり、さらには全体を曲げて鼻中隔弯曲が生じます。そのため鼻中隔弯曲は成長過程である子供には少なく、成長するにしたがい増加して大人では8-9割に認められます。これが高度な弯曲となり鼻閉などの症状を起こした場合に、病的であり鼻中隔弯曲症と診断されます。鼻腔の外側には甲介というひだが出ています。この部分の粘膜が腫れて鼻腔が狭くなっている場合も、鼻閉の原因になります。

下図は実際の鼻内所見です。全体として左に凸であり、軟骨・骨の盛り上がりも認められます。右下鼻甲介粘膜が左下鼻甲介に比べ肥厚しています。

鼻内所見

鼻中隔弯曲症の症状・診断方法

症状

鼻閉が最も多い症状です。鼻閉は鼻中隔弯曲の凸側のみならず凹側でも出現します。凸側は鼻腔が狭くなるために鼻閉を起こしますが、凹側では慢性刺激により下鼻甲介粘膜が肥厚してしまい鼻閉を起こします。高度な鼻中隔弯曲になると鼻閉に伴い鼻出血、嗅覚障害、頭痛、睡眠障害などを起こすこともあります。さらに鼻中隔軟骨は、弾力があり外鼻にまで影響をおよぼし、斜鼻などの外鼻形態変化を生じさせることもあります。

診断

診断は、医師による視診またはCT検査により行います。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を合併することもあり、これらの精査も併せて行います。下図はCT検査結果です。全体として左に凸であり、軟骨・骨の盛り上がりも認められます。右下鼻甲介粘膜が左下鼻甲介に比べ肥厚しています。

CT検査結果

鼻中隔弯曲症の治療法

鼻中隔弯曲症に対する治療は、合併するアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などに対する治療によって症状の改善を認めることがあるため、まずはアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの保存的治療を行います。保存的治療により鼻中隔弯曲は改善しませんが、症状が改善すれば問題がないと考えます。

保存的治療: 抗アレルギー剤・・ アレルギーによる炎症を軽減します
  抗ロイコトリエン・・ 粘膜の肥厚を軽減します
  ステロイド点鼻・・ 炎症のある粘膜に直接霧状の薬をつけ、アレルギーによる炎症および粘膜肥厚を軽減します

保存的治療で効果がない場合、手術療法(鼻中隔矯正術)が選択されます。また鼻中隔弯曲症が慢性副鼻腔炎や睡眠時無呼吸の原因となっている場合は、鼻腔形態の改善を目的として手術の適応となります。

手術療法(鼻中隔矯正術)

手術療法(鼻中隔矯正術)手術療法(鼻中隔矯正術)

手術方法:

一般的な手術方法は、鼻中隔中央部分を切除します。右図のような体位で鼻内のみから手術を行います。粘膜と軟骨・骨を分離し、軟骨・骨のみを切除します。そうして下図のように曲がって突出している部分をなくします。その後、下甲介の腫れている粘膜を切除して鼻腔を広くします。手術時間は約1時間です。最後に出血を止めるために血液を吸収するための綿が入り(ガーゼは入りません)、圧迫のためのシリコン板が入って手術は終わります。

手術療法(鼻中隔矯正術)
手術療法(鼻中隔矯正術)

手術後:

手術後、鼻内を乾燥させるのは良くないため鼻入口部に綿球を付けて頂きます。また鼻内に入っている綿が溶けてきますので術後処置として溶けた綿を吸引除去致します。点滴は翌日まで行い、手術後2日目に退院となります。

合併症:

入院中は疼痛、腫脹、発熱、感染、出血の可能性があります。また嗅覚障害が一過性に起こる可能性もあります。そして弯曲が高度な場合、粘膜が薄いため鼻中隔穿孔を起こすこともあります。

退院後:

退院して1~2週間後に最初の外来となります。最初の外来では、残っている綿やシリコン板を除去します。シリコン板が入っている間は、嗅覚がなく、鼻閉もあります。またアレルギーのコントロールをしないと再度粘膜が腫れて鼻閉を起こす可能性があります。アレルギーがある方はしっかりとアレルギーのコントロールをしましょう。

一般的な手術方法は、鼻中隔中央部分を切除するのですが、支柱となっている鼻中隔軟骨の上端と前端は、外鼻および鼻腔の形態を維持するのに必要な部分であり切除できません。そのため外傷性などにより上端や前端が弯曲している患者様は、再建も行う他の手術方法となります。外切開などは行わず鼻内のみで再建まで行う方法(下左図)、さらには鼻柱の外切開をして外鼻形態の処置まで行う方法(下右図)があります。

鼻内のみで再建まで行う方法
外鼻形態の処置まで行う方法