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歯科医療の新たな展開に対応することを目的に、診療においては大学病院のとしての高い専門性と特殊性を充実させつつ、日常の歯科診療の支援も役割も重視し口腔外科全般の症例に対して幅広く対応できる体制をつくっています。歯学部学生教育においては、臨床推論を中心とした症候と診断、抜歯などの歯科外科、口腔癌の診断と治療、外科的矯正手術による顎変形症の治療、顎関節疾患、口腔粘膜疾患等を中心として口腔外科の幅広い分野で個々の学生の能力に応じたきめ細かな指導体制を整備しています。 また、臨床研修歯科医師に対しても症例の偏りなく外来、入院、手術を含めて口腔外科全般に及ぶ経験ができるような研修プログラムを充実させております。(公社)日本口腔外科学会の指導医・専門医・認定医をはじめとした関連学会の指導医、認定医を多数擁し、マンツーマンの指導体制を整えております。これらの研修プログラムをこなすことにより、入局後は4年で(公社)日本口腔外科学会の認定医資格が取得可能となり、さらに入局後7年で日本歯科専門医機構の口腔外科専門医資格の取得ができる体制を敷いております。さらに研修修了後は、関連施設におけるリーダーポジションの役割も担えるレベルの人材育成を骨子としています。
口腔外科学は、先天異常、炎症、腫瘍などの様々な病態から発生する幅広い疾患をその守備範囲とします。抜歯から唇顎口蓋裂、顎変形症、顎骨疾患、唾液腺疾患、口腔癌など対象とする疾患は数多くあります。消化器・感覚器・呼吸器としての機能を担う口腔に対しての外科的アプローチには、全身状態との関係も重視しなければなりません。歯科医学臨床系の関連学科のみならず、内科、耳鼻咽喉科、形成外科、放射線科、小児科など知識も重要です。また診断と治療をロジカルに行うために解剖学、生理学、病理学などの知識も大切です。口腔病態外科学講座では、疾患をロジカルにとらえて歯科医学と医学の架け橋となり医療現場全般で活躍できる歯科医師ならびに口腔外科専門医の養成を目指しております。また近年では、VRによる口腔外科領域の実習を展開し、術者の視線を3次元的に再現した、臨場感あふれる没入体験や繰り返し学修が可能なコンテンツにより学修効果の向上を図っています。本学歯学部生に対して、口腔病態外科学講座が担当する講義内容は、口腔外科学総論、診断学ならびに手術学、各論として損傷、唾液腺疾患、神経疾患、顎関節疾患、心因性疾患、血液疾患、粘膜疾患そして症候群などの疾患です。また、大学院生、臨床研修医をはじめ一般の歯科医師に対しても同様の意図をもって口腔外科の専門性を追求する生涯教育にあたります。
当講座の研究は口腔外科で扱われる臨床症例、超高齢社会の本邦の現状と密接に関連しており、口腔癌、末梢神経損傷、アンチエイジング、3Dモデルによる手術シミュレーションなどに関する研究が行われています。特に口腔癌の早期発見、筋肉の虚弱に関しての研究を重点的に行っています。現在は下記の研究テーマに積極的取り組んでいます。
・癌細胞および間質細胞からアプローチする口腔癌悪性化機構の解明
・神経再生の阻害因子および神経障害性疼痛の因子に関する網羅的解析
本学附属病院の口腔外科は高い専門性と特殊性をもち、幅広い対応ができるように口腔顎顔面外科学講座と共に診療を展開しています。診療内容は口腔癌、外科的矯正を含む顎変形症、顎顔面領域の神経損傷と口腔粘膜疾患、顎関節疾患、口腔乾燥症、舌痛症など口腔顔面領域における様々な疾患の治療に各分野の専門性の高い歯科医師が対応しています。口腔外科領域はもとより、口腔内科・老年歯科医学・有病者歯科医療・口腔腫瘍・顎関節口腔癌・顎関節など関連する多岐にわたる領域の学会認定資格を有する指導医・専門医の指導の下、講座員が一丸となって患者様のために安全で質の高い医療を追求し、日々精進し研鑽を積んでいます。