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パーシャルデンチャー補綴学は、1歯欠損から1歯残存まで約2億6千800万通りの欠損様式に対して、局部床義歯を用いて咬合回復を行う学問です。可徹性の補綴装置という特徴を活かし、残存歯と調和した義歯の設計を行い、損なわれた顎口腔機能を制御することによってQOLの向上を図ります。 2015年度発足した当講座では、臨床と教育の現場において常に最善の対応がとれるよう、講座員一同が日々研鑽を積んでおります。
局部床義歯を用いた補綴臨床を成功させるためには、義歯製作に関わる技術論的な思考ではなく、顎口腔系全体を捉えた包括的な視点が必要となります。卒前、卒後の教育を通じて世間からのニーズに応えるだけの臨床医を輩出すべく、教育プログラムを整備しております。
卒前研修: 第3学年から第4学年には、補綴学総論と局部床義歯補綴学の講義および臨床基礎実習を担当します。将来の臨床実習で十分な患者対応ができるよう、補綴学の基礎的知識と技能を取得させることを目標とします。第5学年には登院臨床実習を担当します。それまでに得た補綴学の基礎的知識をさらに発展させて個々の症例に合わせた適確な対応が出来ることを目標とします。
卒後研修: 臨床の現場では、歯科医師としての倫理観、あるべき態度や価値観を理解し、補綴治療に必要となる専門性の高い臨床レベルに到達するために、知識・技能・態度を修得させることを目標とします。
咬合の崩壊に起因するさまざまな障害に対して的確な対応が出来るためには、障害に至るまでの過程を客観的に評価し把握する必要があります。部分的な歯の欠損では、時間軸の中で多くの問題点が複合的に絡み合って障害を引き起こしています。このような観点から、以下のテーマに関する研究を進めております。今後さらに研究の幅を広げ、臨床の現場に直ちに還元できるような研究内容に取り組んでいきたいと考えています。 <主な研究テーマ> ・補綴診断に必要とされる客観的評価の検討 ・光学印象からCAD /CAMを応用した局部床義歯製作方法の開発 ・3Dプリンタにて製作した義歯構造体の精度検証 ・コーヌステレスコープデンチャーの新たな内外冠製作システムの構築 ・咬合力相当の荷重を負荷した繰り返し着脱が義歯支台装置に与える影響 ・要介護高齢者における摂食機能評価法の研究 ・CAD /CAMを応用した新素材の義歯床と常温重合レジンとの接着強度の検討 ・金属積層造形で付与した内部構造が機械的特性に及ぼす影響
患者様の抱えている問題を傾聴し、その問題の解決を最優先とした治療計画を立案しています。また、咬合の再構成が必要な症例や、審美障害を訴える症例に対して、補綴を中心とした専門性の高い一口腔単位の総合的治療を実施しています。特に、局部床義歯症例においては残存歯との共存を第一と考え、可撤性補綴装置の特徴を活かし、様々な歯の欠損様式に対応できるよう診療を行っています。 学会における最新の情報を取り入れ、根拠に基づいた歯科医療を行うよう講座員一同心がけています。