本文へ
老年歯科補綴学は、歯科補綴学と老年歯科医学を中心とする学問領域です。 歯科補綴学は、歯・口腔・顎・その関連組織の先天的欠如および後天的欠損・喪失や異常を人工装置によって修復し、喪失した形態や障害された機能を回復するために必要な理論と技術を考究する学問です。 老年歯科医学は、高齢者の歯科保健・医療・福祉の分野における科学と技術に関する学問です。高齢者の歯科治療だけではなく、高齢期の口腔機能管理などを通じて、食べる機能、話す機能の低下を防ぐことで、全身の健康を守り、寝たきり予防し、健康長寿に歯科から支える学問です。 老年歯科補綴学は、これらを統合した学問領域で、急激なスピードで超高齢社会となった現代においてそのニーズはますます高まっています。老年歯科補綴学講座では、これらの分野における教育、臨床、研究に講座員が一丸となって取り組んでいます。
<卒前教育> 卒前教育では、3年生の講義・臨床基礎実習で、総義歯学、老年歯科医学、顎顔面補綴学等を担当しています。また、5年生、6年生の臨床実習では、歯科補綴学治療全般と顎顔面補綴治療を担当しています。 <卒後教育> 当講座では、卒前教育だけでなく、卒後教育にも力を入れています。 卒直後の研修としては、大学院生または臨床専門専修科生としての研修が可能です。当講座独自の3年間の臨床研修プログラムがあります。明確なプログラムの下、日本補綴歯科学会や日本老年歯科医学会の指導医・専門医の指導を受けながら臨床研鑽を積むことができます。当講座の3年間の臨床研修プログラムを修了すると、修了証が授与されます。また、日本補綴歯科学会と日本老年歯科医学会の認定医の申請が可能になります。 さらに2年間の研修で、専門医への申請も可能となります。これまでも、数多くの認定医・専門医を輩出しています。 摂食嚥下リハビリテーション学会認定士、サルコペニア・フレイル学会指導士など幅広い領域の指導医がおり、臨床研鑽を積むことができます。これらの認定資格の取得実績もあります。リカレント教育、生涯研修や社会人の学位取得など、多彩なニーズにも柔軟に対応しています。
急激なスピードで超高齢社会となった現代において、老年歯科補綴学領域のエビデンス構築のニーズは高まっています。老年歯科補綴学講座では、歯科補綴学と老年歯科医学を中心に幅広い範囲で臨床的意義の高い研究を行っています。 <主な研究内容> ● 人工歯や義歯床用材料の技術開発 ● デジタル技術を応用した無歯顎補綴治療 ● 可撤性義歯の管理法・臨床効果の評価 ● 高齢者の口腔機能の評価と口腔機能管理 ● 高齢者の口腔衛生状態の評価と口腔衛生管理 ● 顎補綴治療・顎補綴装置 ● 高齢者の栄養と口腔機能 ● 認知機能低下と口腔機能
単に義歯を製作して装着するといった歯科医師中心の治療でなく、義歯装着によってより快適な社会生活を営むことのできるQuality of Lifeを考慮した治療を行っています。そのため、高齢者の口腔機能や栄養状態、全身状態を評価し、口腔機能管理や口腔衛生管理を行っています。フレイル、オーラルフレイルの予防も力を入れています。 新たな義歯用材料の展開も積極的に行っています。軟質リライン材の積極的な臨床応用やデジタル技術を活用したCAD/CAMデンジャーやジルコニア床義歯も臨床に取り入れることで、満足度の高い義歯の提供につながっています。 日本補綴歯科学会・日本老年歯科医学会の指導医・専門医をはじめとするチームで、根拠に基づき患者さんの生活を支える個別的歯科医療(precision dentistry)を提供しています。 <主な診療範囲> ● 補綴治療全般 ● 高齢者に対する歯科治療・補綴治療 ● 顎顔面補綴 ● 障害者(児)に対する補綴治療 ● インプラント補綴 ● 顎関節症 ● MTM ● 歯周補綴