概要
創立130有余年の歴史を有する本学には、歯科医学の発展に関連した数々の歴史的な貴重書、貴重史料が保管されている。これらの文献、史料は、時を超えて、歯科医学発展の過程を鮮明に物語っている。
書籍
髙山紀齋「保歯新論」(上下、有新堂、1881.6.25)
髙山紀齋(1850~1933)の先進的な考えに基づいて著述され、英米の歯科教科書を翻訳した歯科衛生書である。当時の他の医学書と比較しても出色であり、日本の歯科医学に大きなインパクトを与えた。
「髙山歯科医学院講義録」(全24冊、1890.10より発行)
学院の講師が原書によって口述したものを科目ごとにまとめ、明治23年10月から2年間にわたって毎月、定期的に発行された。翻訳主体とはいえ、わが国初の全科目にわたる本格的教科書であり、歯科教育史上に占める意義は大きい。
Fauchard,P.「Le Chirurgien Dentiste ou traite des dents 1, 2」
(左より、初版〔1728〕、第2版〔1746〕、第3版〔1786〕) 近世歯科医学の父、フォシャール(1678~1761)により著述された。歯科百科事典ともいうべき本書は、それまで徒弟制度の習わしとして歯科医師間 で行なわれていた秘法の内容を公開し、歯科医学発展の足場をつくった。
Hunter,J.「The Natural History of the Human Teeth」
(1771年刊)
著者ハンター(1728~1793)は、歯科医学を建設した開拓者のひとりであり、本書は19世紀の初期までイギリス国内とヨーロッパ大陸で、歯科医学の進歩に最も大きな影響を与えた。
Fox, J.「The Natural History and Diseases of the Human Teeth,and The History and Treatment of the Diseases of the Teeth」
(1803・1806年刊)
著者フォックス(1776~1816)は、ロンドンのガイ病院で、教師として始めて歯科学の長い時間の専門の講義を行い、これが英国歯科医学教育の基礎となった。
画
髙山紀齋/画
(左)「丹波季基(すえもと)由来及び図」木床義歯の創案者の一人とされる丹波季基の人物画であり、髙山紀齋の揮毫による由来記がついている。
書
血脇守之助/書
(左)「世の中は五分の真味に二分侠気、あとの三分は茶目で暮らせよ」1899年10月、ペストが発生した清国へ赴く野口英世に血脇守之助が温かなユーモアをもって激励した歌。
野口英世/書
大正13年、野口英世博士より贈られた扁額。
前年の関東大震災により壊滅状態にあった本学(東京歯科医学専門学校)に対し、在米中の野口英世博士が、恩師・血脇守之助校長の悲嘆を少しでも慰めようと かかる揮毫を贈り、たとえ壊滅的な被害にあっても“高雅で気高い学風は、けっして失われることなく、永遠に続くであろう”と励ましたもの。
模型
東京歯科医学院(1990年製作)
創立100周年を記念して製作された東京歯科医学院の模型。現存する当時の写真などを参考に、新たに図面を描き起こして100分の1の縮尺で製作された。
椅子
小幡式歯科治療椅子(1875年)
本邦歯科医の鼻祖である小幡英之助(1850~1909)が創案し、明治8年以来愛用した歯科用治療椅子。ご遺族により、大正4年2月に寄贈された。